「継承」と「進化」を選んだ日本代表 異例の短期続投に隠された真意

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記者会見に登壇した(左から)山本昌邦技術委員長、森保一監督、宮本恒靖会長 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 日本サッカー協会は7月24日、都内で記者会見を開き、続投が決まった日本代表の森保一監督、宮本恒靖会長、山本昌邦技術委員長が登壇した。森保監督は来年1月から2月にかけて行われるアジアカップまでの短期契約で、その後は現在U-21日本代表を率いる大岩剛監督が引き継ぐことになる。ワールドカップ(W杯)北中米大会をベスト32で終えたチームが次に見据えるのは目の前のタイトル獲得と、4年後、さらにその先の未来。その挑戦は、「継承」と「進化」という二つの言葉を軸に進められる。

最重要課題であるアジアカップ優勝

アジアカップでの優勝を最重要課題に掲げた宮本会長 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 張り詰めた空気の中で行われた記者会見では、まず宮本会長が静かに口を開いた。今回の決定は、W杯後の分析と、日本サッカーがさらに成長するために何が必要かを検討した末にたどり着いた結論であるという。

「われわれがたどり着いた結論が『継承』と、そして『進化』というものです」

 まず宮本会長が強調したのは、目前に迫るアジアカップでの優勝という最重要課題だ。アジア王者を決めるこの大会は、日本にとって極めて重要なタイトルであり、FIFAランキングを上げるためにも公式戦での勝利は不可欠となる。そのアジアで結果を出すことを考えたとき、これまでのW杯アジア予選を勝ち続けてきた森保監督の「アジアでの強さ」こそが、優勝への最も確かな道筋だと判断した。

 一方で、日本サッカー協会は4年後のW杯、さらにその先にある日本サッカーの未来も見据えている。そこで導き出されたもう一つのキーワードが「進化」だ。目の前の大会を勝ち切る力と、未来を切り拓く新しい風。この二つをいかにして両立させるか。その答えが、森保監督によるアジアカップまでの指揮と、その後の大岩監督へのバトンタッチという形だった。

ゼロから作り直すことではない

山本技術委員長は、森保監督が築き上げてきたものを最大限に尊重する 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 続いてマイクを握った山本技術委員長は、森保監督が築き上げてきたものを最大限に尊重する姿勢を明確にした。森保監督が就任した2018年当時、50位以下だったFIFAランキングは、2026年には17位まで上昇。東京五輪、カタールW杯、そして北中米W杯と続く歩みの中で、日本代表は世界の強豪と互角に戦えることを証明してきた。山本技術委員長はこう語る。

「だからこそ私たちに必要なことは、ゼロから作り直すことではなく、これまで培ってきた経験、情報、信頼関係、代表とアンダーカテゴリーの連続性を継承しながら、さらにその先へ進むことだと思っています」

 この「継承」と「進化」を体現できる人物として、白羽の矢が立ったのが大岩監督だった。アンダーカテゴリーからの育成と強化、世代交代への取り組み、そして国際大会での経験。これまでの実績が、彼こそが次代の日本代表を託すにふさわしい人物であると日本サッカー協会に決断させた。W杯で過去最高の結果を出すために必要なのは、継続であり、進化であり、そして飛躍。今回の決断は、その未来を実現するための大きな一歩だと位置付けられた。

「身の引き締まる思い」で受諾した短期契約

自分に与えられた役割を全うする。森保監督の考えはいたってシンプルだ 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 森保監督は、契約延長のオファーを「本当にありがたい」と感謝の言葉で受け止めた。しかし、その表情からは、与えられたミッションの重さに対する覚悟がにじみ出ていた。「やらなければいけないミッションを考えると、身の引き締まる思いでいます」と語り、与えられた契約期間の中で、日本代表の勝利と日本サッカーの発展のために全力を尽くすことを誓った。

 W杯を終えた監督が、次の大会までの短期契約を結ぶというのは異例のこと。4年周期でチーム作りをしたいという思いはなかったのか。そんな問いに対し、森保監督の答えは極めてシンプルだった。

「契約に関してはもうシンプルかなと思っています。日本サッカー協会があって、そのオファーを受けて、私自身は、その契約期間内が4年なのか1年なのか、半年なのか、その中で自分がやるかやらないかということを決めるだけです」

 森保監督の視線は常に、「2050年までにW杯で優勝する」という日本サッカー界全体の大きな目標に向けられている。その壮大な物語の中で、自分に与えられた役割を全うする。それが1試合であろうと、半年であろうと、4年であろうと、森保監督の姿勢は変わらない。どんな結果を残しても次に繋がらない契約だとしても、モチベーションが左右されることは「全くない」と断言する。

 プロの世界では、結果が出なければ任期の途中でも契約が終わることは当然。むしろ1試合1試合、悔いのないように全力を出し切ることの連続が、任期満了につながるだけだと森保監督は考えている。

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