F1は今、新世代ドライバーたちが凄い! なぜ、いきなり速いのか

柴田久仁夫

新世代ドライバーが躍動した

まだ少年らしさも残る21歳のアジャ。しかしフェルスタッペンに迫る速さを身につけつつある 【(C)RedbullF1】

 21番手から6位入賞。

 F1ベルギーGPで最も印象に残ったのが、この数字だった。レッドブルのイザック・アジャが最後尾近くからのスタートを余儀なくされながら、10数台を追い抜いて6位まで駆け上がった(注)。「ペナルティがなければ、表彰台も狙えた」(本人談)。3位に入ったチームメイトのマックス・フェルスタッペンを終始上回るペースで走っていただけに、その可能性は十分にあった。

 驚くべきはアジャだけでなく、F1デビュー1、2年の若手たちが次々と入賞を果たしたことだ。ガブリエル・ボルトレートが8位、アービッド・リンドブラッドが9位。いずれも実績十分の実力派チームメイトを下しての入賞だった。そしてタイトル争いでは、デビュー2年目のアントネッリが首位を快走している。

注:アジャは今回、規定数以上のパワーユニット交換のためにグリッド降格ペナルティを科された。

昔のルーキーとは何が違うのか

19歳でデビューしたアロンソでさえ、初優勝までには3年を必要とした 【(C)柴田久仁夫】

 もちろん、若くして速いドライバーは昔からいた。

 アイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、フェルナンド・アロンソ、ルイス・ハミルトン、そしてフェルスタッペン。後に世界王者となる才能は、デビュー当初から並外れた速さを見せていた。しかし彼らが初優勝を果たした年齢、さらに世界チャンピオンになった年齢は、意外に遅い。たとえばセナ、シューマッハが1勝目を挙げたのは、それぞれ25歳と23歳。初タイトルは28歳と25歳だった。

 アロンソは当時最年少の19歳でF1デビューを果たしたが、初優勝は22歳。初タイトルはさらに3年後の25歳だった。一方フェルスタッペンは17歳でF1デビューすると翌年初勝利。しかしタイトル獲得には、6年後の2021年まで待たなければならなかった。ハミルトンだけはF1デビュー後すぐに成功した例外だったが、下位カテゴリーで6年間戦い、準備期間を十分に積んでいる。勝つために必須の経験を積み、超一流へ成長するのに、それだけの時間が必要だったということだ。

 ところが今のルーキーたちは違う。20歳そこそこのデビューが当たり前で、F1に来ていきなり速い。まるで数年分の経験を、最初から持っているかのようだ。

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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