本当に気温が上がるほど本塁打は増えるのか 最も「猛暑」の影響を受けた球場とは?

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気温で最も成績が変わった神宮、ベルーナドームはほぼ屋外?

昨年夏に、神宮球場で打ちまくった村上宗隆 【写真は共同】

 個別の球場に着目するとまたおもしろい傾向が見えてくる。気温の変化を最も大きく受けていたのが明治神宮球場だ。打高で知られる神宮球場でもやはり気温が低い試合では好成績は出ていない。10-15℃の試合では打率は.225、長打率は.350、HR/FBは9.3%だった。これが30-35℃の試合になると打率は.272、長打率は.450、HR/FBは12.6%。気温が高い試合では一気に化ける。長打率については1割もの上昇を見せていた。我々は神宮球場に対して打高球場という印象をもっているが、もしかしたらそれは「気温が高い日の神宮球場」に限定されたものだったかもしれない。

【データ提供:DELTA】

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 屋内・屋外の傾向にそのまま沿わない球場も見られる。その代表がベルーナドームだ。ベルーナドームは屋根こそあるが壁面がない半開放型のドーム球場だ。そのため外気がダイレクトに球場内に流れ込むという点で、ドーム球場ではあるが屋外球場に近い性質を持っている。

【データ提供:DELTA】

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 実際、気温と打撃成績の関係を見てみても、ベルーナドームは屋外球場と似た傾向になる。ベルーナドームで10-15℃での試合は打率が.215であるが、これが30-35℃にまで上昇すると.241。.026も打率が上がっている。長打率については.324から.376まで.052もの差があった。やはり屋根があるだけでは屋内球場としての特性をもつわけではなく、気温の影響をかなり大きく受けるようだ。このためさきほどの集計においても、ベルーナドームは屋外球場としてカウントしている。

 もうひとつエスコンフィールドHOKKAIDOも特殊な傾向を見せている。エスコンフィールドは基本的には屋内球場にあたる。しかし気候条件が整った試合に限り、ルーフオープンゲームが行われる。つまり屋内球場でありながら、屋外球場の日もあるというわけだ。

【データ提供:DELTA】

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 実際その傾向はデータにも表れている。エスコンフィールドでは10-15℃の試合では.229だった打率が30-35℃の試合では.257に上昇。長打率も.360から.385に上昇を見せている。神宮球場ほど極端ではないが、比例関係だ。これは屋内球場ながらルーフオープンゲームがあることで、気温の影響を受けやすい試合が混ざっているためと考えられる。

 ここまでの話から気温が上がるほどに本塁打が生まれやすい傾向がわかる。暑さは乱打戦を生むのだ。

 ただこれはこの分析によってはじめてわかったことではない。より物理的な観点からすでに研究が行われている[※]。こうした気候と野球の関係について、一般的によく知られているのがコロラド・ロッキーズの本拠地であるクアーズ・フィールドのボールの飛びやすさだろう。クアーズ・フィールドは標高およそ1600メートルの高地にあるため、気圧が低くそれにより空気抵抗が減ることで、一般的な球場よりもボールが非常に飛びやすいことで知られている。

 実はこの気圧と空気抵抗の関係と同じように、気温が上昇したときにも空気抵抗は低下するようだ。研究によると、日本の気候では4月から8月にかけての気温上昇によって空気密度が5%低下するとされている[※]。もちろんクアーズ・フィールドほどの極端な変化ではないが、気温の変化も実は空気抵抗に影響を与えているのだ。つまり暑くなると空気抵抗が下がり、それによってボールが飛びやすくなり、乱打戦が増えるというわけである。

 また「投手がバテているから乱打戦が生まれているのでは」という説については反するデータも出てきているようだ。投手は暑くなるとバテるどころかさらに球速をアップさせるようである。つまり夏に乱打戦が生まれるのは、投手がバテるからではなく、やはり気候によるところが大きそうだ。

 今年も日本の夏は暑い。この暑さが今季のプロ野球でも激しい打ち合いを呼び起こすはずだ。

[※]下記リンク参照
(企画編集:スリーライト)

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