「スクイズ外しは得意」名将明かす見抜き方 沖縄尚学・末吉を攻略した指示のコツは?
スクイズの見極め方
あの試合では8回裏、仙台育英が仕掛けてきたスクイズを外し、無失点で切り抜けることができた。ベンチには「よし、これはいけるぞ」という空気が生まれた。9回表の攻撃では、1アウト・ランナー二三塁の好機を作った。しかし、4番、5番が倒れて、あと一本が出ずに敗れた。勝負所を作りながら、勝ち切れなかった試合である。
手前味噌な話になるが、私はスクイズを外すことに関しては、比較的得意なほうだと思っている。相手のサインそのものがわかるわけではない。相手ベンチの雰囲気やランナーの動き、バッターの構えなどからスクイズの気配を感じる。もちろん、事前に相手チームの映像を見て、どのカウントで動いてくるのかを研究することもある。
試合中も、相手ベンチは常に見ている。監督の動きやコーチの立ち位置、ランナーへの声のかけ方、バッターの様子… …。そういったものに、ほんのわずかな変化が出ることがある。事前の準備に、現場で察するものを重ねていくと、「ここでスクイズが来る」と感じる瞬間がある。
初球からスクイズを仕掛けてくるチームもある。そういうときも「来るな」と感じる。仮に相手が1球目からスクイズを仕掛けてこなかったとしても、初球を外しておくと相手も次のサインを出しづらくなる。スクイズは、一度警戒されると、仕掛ける側にも迷いが生まれるのだ。
スクイズは、サインを出す側にとっても勇気のいる作戦だ。三塁ランナーをスタートさせる以上、失敗すれば大きなリスクを背負う。だからこそ、相手がどのタイミングでそのリスクを取りにくるのかを読む。相手の仕掛ける勇気とこちらの外す勇気。スクイズには、そういった監督同士の駆け引きが詰まっている。
私自身も、初球にスクイズを仕掛けることはある。相手がまだ心の準備をしていないところで、一気に勝負をかける。そういう一手が必要なときもある。いずれにせよ、大事なのは選手に迷いなくプレーさせられるかどうかだ。
一方で、私はセーフティスクイズをあまり使わない。セーフティスクイズは、判断の責任をバッターやランナーに預ける部分が大きい。失敗したとき、どこかで「バッターが決められなかった」「ランナーのスタートが悪かった」という見え方になりやすい。私は、それがあまり好きではない。
スクイズを出すなら、監督である私が責任を取るべきだと思っている。ベンチが「ここでやる」と決める。選手は、そのサインに従って思い切ってプレーする。失敗したら、サインを出した監督の責任である。そのほうが、選手は迷わず動ける。バッターもランナーも、余計なことを考えず自分の役割に集中できる。
スクイズは、ただの小技ではない。相手を読む力や事前の準備、試合中の観察、そしてサインを出す覚悟が問われる。外すときも、仕掛けるときも、最後は監督の判断になる。だから私は、スクイズを出すと決めたなら、その責任を選手に預けたくない。ベンチが腹をくくるからこそ、選手は迷わず動けるのだ。
極意 其の三十二
試合中も、相手ベンチは常に見ている。監督の動きやコーチの立ち位置、ランナーへの声のかけ方、バッターの様子……。そういったものに、ほんのわずかな変化が出ることがある。事前の準備に、現場で察するものを重ねていくと、「ここでスクイズが来る」と感じる瞬間がある。
驚異の110%超!
監督就任15年目で甲子園出場16回。
そのうち優勝1回、四強2回、八強1回。
恵まれない環境下に置かれながらも、
いま高校球界で最も勝ち切れる指揮官が語る、
日本一の采配論!