ロケットスタートから失速、松山英樹を苦しめた「特殊なセッティング」とは… 谷原秀人の全英OPレビュー

塩畑大輔

【Photo by Kate McShane/R&A/Getty Images】

 ゴルフの海外メジャー今季最終戦『全英オープン』の最終ラウンドが7月19日、イングランドのロイヤルバークデールGCで行われ、松山英樹が通算4アンダー14位に入った。

 苦手としてきた舞台でいかに戦ったか。今後への収穫はあったのか。松山を最も良く知る先輩プロで、U-NEXTの独占ライブ配信で解説を務めた谷原秀人が振り返る。

カップ手前でアプローチが失速…遅いグリーンの難しさ

 松山選手もプレーした最終ラウンドの遅い時間は、かなり難しいコンディションになりました。ほとんどの選手がスコアを伸ばせずじまいでした。風の強さがかなり強まったこともありましたが、グリーンの遅さというのも難しさを生んでいたように思います。

今回の14位は2013年大会の6位に次ぎ、2017年大会に並ぶ順位ではあった 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

 海外メジャーではグリーンの芝を短く刈り込んで、ボールが転がるスピードを上げることが多い。でも、風が強く地面の起伏も大きい全英のコースでそれをやってしまうと、一度止まったボールが風で動き出してしまう。

 なので、ほかの3つのメジャー大会と違って、ここだけはグリーンのスピードが遅いのが一般的です。加えて、今年はヨーロッパを熱波が襲っていることもあって、芝にダメージを加える側面もあるグリーンの刈り込みはより行いにくかった。

地元出身のフリートウッドのアプローチがカップをかすめ、本人とともに天を仰ぐ観衆 【Photo by Tom Shaw/R&A/R&A via Getty Images】

 さらに、最終ラウンドは風が強まる予報もあったからかもしれませんが、前日までよりもさらにグリーンが遅くなっていたようにもみえました。このセッティングに特に苦しめられていたのが、松山選手だったかなと。

 彼のアプローチは世界でも屈指のレベルにあると思いますが、この日はラウンドを通してカップのかなり手前で止まってしまっていました。ボールの落としどころが、理想よりも数ヤード手前になってしまっていたのですが、なかなかそこを調整しきれなかった。

【Photo by Sean M. Haffey/Getty Images】

 それでも、トップ10フィニッシュまであと1打というところまで粘っていって、最後に17番パー5でグリーン手前すぐから第3打アプローチという絶好のチャンスを迎えましたが、ここでは逆に5メートル以上もオーバーしてしまった。

 弱いから強めに突っ込んでいったら、それもそれでダメ。ラウンドを通してみると、アプローチだけで4~5打は損してしまったように思います。ホールアウト後のインタビューで本人も「どうにもできなかった」と苦笑いをしてしまっていましたが、極端に遅いグリーンに合わせるというのは、はたから見ているよりもかなり難しいものです。

パターを打つ松山英樹 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

 プレーの流れ的には、2、3番の連続バーディーで上位との差をグッと詰めた直後の4番パー3のボギーも痛かったです。ああいう短いパーパットを外してしまう場面は、この大会はもちろん、最近のツアー戦を通してみてもほとんどなかったと思います。

 ショット自体は、初日と比べてかなりよくなっていたと思います。彼本来のアイアンの精度は戻っていましたし、左から真横に強い風が吹いて非常に難しかった18番のティーショットも、ドライバーでしっかりとフェアウェーを捉えました。

18番パー4、松山英樹はフェアウェーから第2打を放つ 【Photo by Richard Heathcote/Getty Images】

 全英オープンの会場になるような「リンクス」と呼ばれる海辺のコースでのプレーは、年間を通しても1,2試合程度です。他の試合と比べてかなり特殊な環境下でのプレーで、スタート時間の天候など運不運に左右されてしまうところも大きいので、ある程度割り切って考える必要もあると思います。

 松山選手ほどのキャリアならば、当然そう考えることはできているはずです。この試合を終えた時点での米男子ツアー年間ポイントランキングでは37位。プレーオフ最終戦に進める30位以内へ、もうひと頑張りが必要になります。

 最終ラウンドで伸ばせなかったもどかしさはあるとは思いますが、ショットの内容がよくなっているあたりを、ここからのシーズン終盤戦に活かしてくれるものと期待したいです。

松山英樹と田渕大賀キャディ 【Photo by Oisin Keniry/R&A/R&A via Getty Images】

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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