メッシの神通力は無敗スペインをも破るのか W杯決勝、ヤマルとの20歳差対決へ
決勝は先制したチームが勝つ?
W杯決勝という舞台では、先制点の持つ意味は極めて大きい。スコアレスからのPK戦決着となった1994年アメリカ大会以降、先制した7チームのうち6チームが優勝トロフィーを掲げている。唯一の例外は2006年ドイツ大会のフランスであり(先制後、同点に追いつかれ、イタリアにPK戦で敗れる)、試合の主導権をいかに早く握るかが、勝敗を分ける重要な鍵となるだろう。
史上初となる6試合クリーンシートのスペイン
この強さを支えているのは、攻守に連動したチーム組織である。今大会の1試合平均被枠内シュート数はわずか1.4本で、参加国の中で最も少ない。さらに、1試合平均の被ゴール期待値0.31という数字は、1966年以降のW杯において史上最少タイ記録となる(1990年イタリア大会のウルグアイと並ぶ)。大会を通じて史上初となる6試合でクリーンシートを達成し、一度も相手にリードを許していないという事実が、その強さを何よりも雄弁に物語っている。単に守備が優れているだけではなく、個々の卓越した技術と、高いサッカーIQに基づくポジショニングの巧みさによる正確無比なパスワークで、相手にボールを渡さないのだ。
そのサッカーを支える中盤の支配者、ロドリの存在も欠かせない。彼の今大会パス成功数655本は、1966年以降の同一大会で歴代最多記録を更新。チームの心臓として、攻守にわたり絶大な影響力を発揮している。アイメリク・ラポルテ(22戦15勝7分)やミケル・オヤルサバル(20戦15勝5分)といった選手たちは、ユーロとW杯の両大会で無敗を続けており、ファビアン・ルイスに至っては、出場した国際Aマッチ49試合で無敗(34勝15分)と、チーム全体に勝利のメンタリティーが深く根付いていることを示している。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督の下、チームは組織的な完成度を極め、欧州王者から世界の頂点に立とうとしている。
連覇を狙うアルゼンチン、勝負強さと不屈の魂
今大会のアルゼンチンは、圧倒的な勝負強さを見せつけてきた。開幕から7戦全勝で決勝まで駒を進めており、もし優勝すれば2002年日韓大会のブラジル以来となる全勝優勝を達成する。その道のりは決して平坦ではなく、ラウンド16のエジプト戦(3-2)、準決勝のイングランド戦(2-1)では逆転勝利を収めてきた。同一大会で3度の逆転勝利を記録すれば、1970年メキシコ大会の西ドイツ、2014年ブラジル大会のオランダに並ぶことになる。
特に、試合終盤の得点力は驚異的で、76分から90分の間に8ゴールを記録。これは1954年スイス大会で「ベルンの奇跡(決勝で当時無敵と称されたハンガリーを0-2から逆転で破り、ゲルマン魂の象徴と語り継がれる試合)」を演じた西ドイツに並ぶ最多得点記録であり、最後まで諦めない不屈の魂を象徴している。その中心にいるリオネル・メッシの神通力は、スペインさえも打ち破るのか。
攻撃の多彩さもアルゼンチンの強みだ。ペナルティーエリア外から5ゴールを奪っており、これも1966年以降の同一大会における最多タイ記録。どこからでもゴールを狙える脅威が、相手守備陣にプレッシャーをかけ続ける。現在、国際Aマッチ14連勝中と勢いに乗るチームを率いるのは、リオネル・スカローニ監督。彼が再びチームを栄光に導けば、イタリアのヴィットリオ・ポッツォ以来、史上2人目となる監督としてのW杯連覇を達成することになる。