評価急上昇中の台湾20歳右腕・張峻瑋 ブレイク間近の攻撃的投球を支える姿勢

田尻耕太郎

2024年11月の入団会見時の張峻瑋.1年半が経過して大きく成長している 【写真は共同】

2軍の試合で披露した‟ねじ伏せる”ピッチング

 ソフトバンクに育成選手として入団して2年目の張峻瑋(チャン・ジュンウェイ)投手の評価が急上昇中だ。昨季は大半を3軍で過ごして登板は非公式戦のみだったが、今季は一段階アップの2軍が主戦場となりファーム・リーグ公式戦で登板を重ね、特に直近2試合はいずれも先発で圧巻のパフォーマンスを見せている。

 7月9日のオリックス2軍戦(みずほPayPayドーム)は6回2/3を4安打8三振3四死球(死球1)1失点。そして中6日で臨んだ16日の阪神戦(丸亀)では自己最長の8イニングを投げきり、被安打わずか1で四球は0(死球が1)、9三振を奪って無失点と完ぺきな投球だった。ここまでのファーム・リーグでは9試合に登板(うち4先発)し3勝1敗、防御率2.95、奪三振率9.08、与四球率1.72の成績を残している。

 ドームでの登板で確かな自信を得たようだ。9日のオリックス戦は攻める姿勢を貫いて打者26人に対し、初球ボールはわずか6度。「ゾーンで勝負することを一番に意識して、誘い球とかも考えずに常にゾーンでバッターと勝負をすることだけを考えました」と振り返り、5回には3者連続空振り三振を奪うなど計8奪三振をマークした。初めてバッテリーを組んだベテラン捕手の嶺井博希のリードに導かれ、この日最速154キロの直球、スライダー、チェンジアップの3球種で勝負して相手をねじ伏せた。

絶好のアピールの場で最高の仕事

 斉藤和巳2軍監督は「今まで見た中で一番良かった。ボールを操って“ピッチング”をしていた」と明るい声で頷いた。張峻瑋の欠点は制球面だった。投げるボールは一級品でもコントロールに苦しみ自滅してしまう登板がずっと続いていたが、この日はストライクが先行したのはもちろん、投球内容を見ても捕手の構えから大きく外れたり高めに抜けたりするコントロールミスがほとんど見られなかった。

 そして、この試合でベンチ入りし視察した倉野信次1軍投手チーフコーチ兼ヘッドコーディネーター(投手)からも絶賛の言葉が聞かれた。

「すごくよかった。1軍で投げていてもおかしくないパフォーマンスでした。たぶんホークスに入って一番の出来だったと思います。それをこのドームでやる試合、しかも僕が来た日にそのパフォーマンスを見せたところが、すごく(運や勝負強さも)持っているなと感じました」

 ソフトバンクの2軍本拠地はタマスタ筑後なのだが、今季の中で唯一7月7日~9日の3連戦が1軍本拠地のみずほPayPayドームで組まれていたのだった。観客数は4000人前後で1軍戦の10分の1程度ではあるものの場内演出などは通常に近い形で行われた。球団の「若い選手たちに1軍の雰囲気を経験させたい」との意図が伝わってきた。となれば、やはり期待値の高い若手選手が起用されるケースも多い。

 昨年のドーム2軍戦開催でも今季1軍ローテで活躍している前田悠伍が先発マウンドを任された。さらにチーム投手陣を統括する倉野コーチが視察できたのは3連戦の中でも9日の試合のみだった。絶好のアピールの場で最高の仕事。張峻瑋も「初めてのみずほPayPayドームだったので、絶対にいい結果を残すという気持ちでやってきた」と充実感を漂わせていた。

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著者プロフィール

1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月に独立後も、ホークスを中心に九州・福岡を拠点に現場取材を続ける。『Number』(文藝春秋)『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、ニュースレター『田尻耕太郎の鷹バン!』(the Letter)を運営。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、プロゴルファーらが参加する「鴻江合宿」の運営サポートもライフワークにしている。

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