熱波で枯れたフェアウェー、弾かれるアイアン…松山英樹の巻き返しはなるか 全英OP初日、谷原秀人の視点

塩畑大輔

【Photo by Stuart Franklin/R&A /Getty Images】

 今季海外メジャー第4戦『全英オープン』が7月16日、イングランドのロイヤルバークデールGCで開幕した。日本勢は久常涼が2バーディー、ボギーなしの68で回り、首位と3打差の2アンダー13位と好発進。松山英樹は1バーディー、3ボギーの72で回り、2オーバー85位とやや出遅れた。この会場での全英オープンに2008年、2017年と2度出場し、今回はU-NEXTの独占ライブ配信で解説を務める谷原秀人が初日を振り返る。

熱波で「枯れた」コース…プレーへの影響は?

 ロイヤルバークデールGCは何度もラウンドしているのですが、今回はコースの様子を思い出すのが少し大変でした。普通のコースであれば「ここはこうだった」と、わりとすぐイメージが蘇るのですが…それくらい、いろいろなことが以前とは違っていると感じました。

17番で第2打を放つマキロイ。芝は一面枯れていて、冬場のコースのようにもみえる 【Photo by David Cannon/Getty Images】

 各ホールの距離だけでなく、14番パー3がパー5に、15番パー5がパー3に、という珍しい変更も施されています。練習場も場所が変わっていました。

 そして何より、熱波でコース中の芝が枯れてしまっている。それによって、パッと見た印象がまったく違ってしまっていることもあって、コースのイメージが蘇りにくい気がします。

初日を終えて5アンダーの単独首位に立った米国のジャクソン・スーバー 【Photo by Andrew Redington/Getty Images】

 もちろん、変わるのは見た目だけではありません。全英オープンの開催コースはどこも、フェスキューというイネ科の背の高い牧草がコースに生い茂っています。ラフに着弾するとまったく転がらずに距離をロスするし、ボールをなくすリスクまである。

 ショット時もクラブに絡みついて、打つのが非常に難しくなるので、まずはラフを避けるというのが鉄則になります。でも、今回はそのフェスキューが枯れて茎に力がないので、ラフに入れても例年ほどには難しい状況にならない。

フェスキューのラフからショットを放つ世界ランク4位のキャメロン・ヤング。首位と2打差の3アンダー4位につけた。  【Photo by Charlie Crowhurst/R&A /Getty Images】

 逆に、フェアウェーは芝がより薄く、地面がより硬くなっているはずです。そもそも全英の開催コースはどこも地面が硬いのが特徴なのですが、今年は輪をかけて硬いのかなと。

 この影響を特に強く受けてしまった印象があったのが、松山英樹選手でした。

世界最高のアイアン、硬い地面に弾かれて…

 彼はアイアンの精度が世界でもトップクラス。これが最大の武器だと思っていますが、この日に関しては珍しく、まったく良くなかった。ドライバーに関しては今季ずっと良くはないので、ある意味いつも通りではありましたが、アイアンが原因でやや苦しいラウンドになりました。

 言うまでもないのですが、フェアウェーからのアイアンショットは、地面に密着したボールを打つことになります。この時に、芝が薄くて地面が硬い状況だと、アイアンのヘッドが弾き返されやすくなる。

初日やや出遅れた松山英樹  【Photo by Tracy Wilcox/R&A /Getty Images】

 当然、イメージ通りにボールを捉えられないので、アイアンの精度が下がってしまう。例年であれば松山選手は、前週に同じ英国内で行われるスコットランドオープンに出場して、同じ「リンクス」というスタイルのコースでのプレーに慣れた状態で全英オープンに臨みます。

 今年はスコットランドオープンに出場しなかったので、今回が今年初めてのリンクスでのプレーになっているはず。そこでいきなり、例年以上に芝が薄く、地面が硬い状況に直面しているので、難しさがあるのかなと。

イギリスでも多くのギャラリーに注目される 【Photo by Richard Heathcote/R&A /Getty Images】

 そもそも、英国入りが直前になったことで、時差調整などが間に合っていないところもあると思います。松山選手のプレーはずっと見てきていますが、ショット時の動き自体をみてもまだ万全とは言い難い気がするので、よりコースの状況にアジャストするのは難しいのかなと思います。

 2日目以降に向けては、とにかく練習場で調整するしかないのですが、気をつけなければいけないのは練習場とコースのコンディションの違いです。見る限り、練習場だけは芝が青々としている。そこでいくら調整をしても解決にはつながらないので、芝が枯れている場所を探して打つなどの工夫が必要になると思います。

初日はシックなウェアも印象的だった 【Photo by Sean M. Haffey/Getty Images】

 体調もコースの状況への対応もまだまだなので、逆に言えば浮上の余地はかなりあるとも言えます。今の松山選手は、連続予選通過の記録を全選手中2位にあたる27試合にまで伸ばしています。4日間の中で調子を上げたり、コースに合わせいったりして、終わってみれば上位にいる、というケースも多い。

 初日をみるかぎり、パターはいい感じで打てている、ということもあります。今大会もまずは予選を通過して、週末に見せ場をつくってほしいです。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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