週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

佐々木麟太郎、マーリンズ入り決断へ MLBドラフト指名の舞台裏

丹羽政善

マーリンズから8巡目指名を受けた佐々木麟太郎。進路はすでに決まっているか? 【写真は共同】

代理人の「作戦司令室」で見た光景

 ソフトバンクかマーリンズか。熟考の末、下したのはかねてから憧れていたメジャーという舞台への挑戦だった。各所に筋を通した後、今週末にも本人が、正式に表明する見込みのようだ。

 今回は、ドラフト指名の舞台裏を紹介したい。

 MLBドラフトは、実にユニークだ。

 かつては(2006年まで)1年間に渡って入団交渉が行われ、最終的に上位指名選手と契約に至らないことも少なくなかった。

 2007年以降、徐々に変わって、2021年から7月となり、オールスターゲームの一イベントとなった。ともなって、交渉期間が短縮され、今回は7月27日が期限。約2週間という短さである。

 その代わり、ある程度、チームは選手、代理人(契約するまではアドバイザー)と接触し、事前に順位や、契約金の交渉が認められている。

 佐々木麟太郎のケースはどうだったのか?

 今回、代理人が、借りていた“ドラフトルーム”(ドラフト用の作戦司令室)に潜入。もちろん、それが明かされることはなかったが、ドラフトの流れの一端を窺い知ることができた。

 方々から電話が入り、その際のやり取りは、こんな感じ。

某球団「〇〇を8巡目で指名したい。契約ボーナスは30万ドルでいいか?」

代理人「本人に確認して折り返す」

代理人「〇〇が8巡目で指名したいそうだ。契約ボーナスは30万ドル。受けるか?」

選手「はい、受けます」

代理人「わかった」

代理人「〇〇からOKが取れた」

某球団「わかった。予定通り指名する」

 その間、わずか2〜3分。代理人たちは、次々と案件を捌いていく。

 そんな短時間で運命が決まるのか――と思うかもしれないが、冒頭で紹介したように、指名までに話はまとまっている。12〜13巡目以降になると、そういう事前調整は減るので、その場合は当然、辞退するケースも増える。そもそも15巡目以降ぐらいになってくると、指名された高校生は大学へ進学し、3年後の上位指名を目指す。

 事前連絡そのものは、その選手に対する敬意の表れであり、おそらく、佐々木のケースでも、同じようなやり取りがあったとは想像がつくが、話は少々複雑。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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