NPBを経由しないメジャー挑戦は「最短ルート」か? 増え始めた日本人有望株の新たな選択

村田洋輔

5月25日のツインズ戦でメジャーデビューを果たした西田陸浮 【Photo by Joe Robbins/Icon Sportswire via Getty Images】

NPBを経由しない「もう一つのMLBロード」

 現在、MLBではMVP4度受賞の大谷翔平(ドジャース)を筆頭に多くの日本人選手がプレーしているが、そのほとんどはプロ野球(NPB)を経由して海を渡った選手たちだ。NPBを経由せずにメジャーデビューした選手はマック鈴木(元ロイヤルズなど)、多田野数人(元インディアンス)、田澤純一(元レッドソックスなど)、加藤豪将(元ブルージェイズ)、西田陸浮(ホワイトソックス)の5人しかおらず、マイナーでは森井翔太郎(アスレチックス傘下)らが未来のメジャー昇格を目指している。

 西田は東北高校を卒業後、アメリカの短大に留学し、オレゴン大学に編入。2023年ドラフト11巡目(全体329位)でホワイトソックスから指名を受け、プロ入りした。日本人選手がMLBのドラフトで指名されるのは加藤豪将(2013年ヤンキース2巡目)以来10年ぶり5人目だった。ルーキーリーグで1試合だけプレーしたあと、すぐに1A昇格を果たして19試合に出場。翌2024年はマイナー3階級合計で127試合に出場して49盗塁をマークし、2025年は2Aでフルシーズンを過ごした。

 プロ入り4年目の今季も2Aからのスタートとなったが、4月中旬に初の3A昇格を果たすと、3Aで結果を残し、5月25日(日本時間26日)のツインズ戦でついにメジャーデビュー。有望株ブレーデン・モンゴメリーの昇格に伴って2週間ほどで3A降格となったが、メジャーでは主に「対右腕用の右翼手」として起用され、12試合で打率.241(29打数7安打)を記録した。俊敏かつ堅実なプレーを見せ、守備と走塁では存在感を示したが、打撃では30打席で長打、四球とも0と力不足を露呈。現在はメジャー再昇格を目指し、3Aのフィールドで努力を続けている。

 起業家という一面も持ち、大阪出身の関西人らしくコミュニケーション能力は抜群。持ち前の明るさでメジャー初昇格時もすぐにチームに溶け込んでいた。性格はメジャー向きの印象もあり、近い将来に再びメジャーの舞台でプレーする姿を見られることを期待したい。

「二刀流」としてメジャーデビューを目指す森井翔太郎 【Photo by Geoff Stellfox/Getty Images】

 森井は西田とは異なるルートで米球界に挑戦している。桐朋高校で投打の「二刀流」として活躍し、NPB入りではなく、米球界挑戦を選択。いわゆる「国際アマチュアFA選手」として契約金151万500ドル(約2億4000万円)でアスレチックスとマイナー契約を結んだ。プロ1年目のシーズンとなった昨季はルーキーリーグで野手として43試合に出場。遊撃で23試合、DHで13試合、二塁で7試合に起用され、打率.258、3本塁打、4盗塁、出塁率.399、OPS.783をマークした。

 アスレチックスは投手と内野手の「二刀流」で育成する方針を固めており、今季は投手としてもプロデビューを飾っている。ルーキーリーグと1Aで合計8試合に先発し、10回2/3を投げて0勝3敗、防御率15.19と思うような結果は残せていないものの、森井の挑戦はまだ始まったばかり。憧れの選手として、投手ではジェーコブ・デグロム(レンジャーズ)、野手ではエリー・デラクルス(レッズ)を挙げており、アスレチックスがラスベガスの新球場に移転する2028年にメジャーデビューすることを目指して、投打両面でレベルアップに取り組む日々を過ごしている。

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著者プロフィール

神戸出身。2001年、イチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年からMLBライターとしての活動を開始し、2017年から日本語公式サイト『MLB.jp』編集長。2021年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビュー。ジャンカルロ・スタントンと同じ日に生まれたことが密かな自慢。

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