「最も風が強いコース」攻略のカギは? 松山英樹ら日本勢にもチャンスはあるか…全英オープンプレビュー

塩畑大輔

【Photo by Ben Jared/Getty Images】

 今季海外メジャー第4戦『全英オープン』が7月16日、イングランドのロイヤルバークデールGCで開幕する。松山英樹をはじめとした日本勢の躍進はあるのか。U-NEXTの独占ライブ配信で解説を務める佐渡充高さんが、大会の歴史、コースの特徴をひもときながら見どころを語る。

3億年ものの岩盤。乾燥と塩分に耐える強い芝

 全英オープンは世界最古のトーナメントで、ゴルフの歴史そのものと言っても過言ではない大会です。今回の舞台となるロイヤルバークデールは、グレートブリテン島のイングランド北西部に位置します。ここはサウスポート砂丘と呼ばれる、イングランドでも最大級の砂丘地帯です。

ロイヤルバークデールGC 【Photo by David Cannon/R&A/Getty Images 】

 3億年前にできた岩盤の上に砂が堆積してできた砂丘に作られたコースなので、地面が非常に硬いのが特徴です。風雨によってできた丘が点在し、天候も「1日に四季がある」と言われるほど変わりやすい。

 植物は基本的に乾燥と塩分に弱いため、砂丘ではなかなか育ちません。ここに生えている草は、そういった環境に耐えられるほど力強い。コースの芝は表記上は「ベントグラス」ですが、普通のベントグラスとは違って根付き方も芝目も非常に強い。ショットを打つ際の抵抗も、ボールの転がり方も、他の土地にあるコースとはまったく違います。

2017年大会、多くの人に取り囲まれながらショットを打つジョーダン・スピース。コースにはところどころ丘があり、観客はそれも利用しながら観戦を楽しむ 【Photo by Richard Heathcote/R&A/Getty Images 】

 また、風が強いために高い木は育ちません。代わりにハリエニシダ、現地では「ゴース」と呼ばれる高さ2メートルほどの植物が点在しています。このハリエニシダは茎にトゲがあり、これは草食動物に食べられないように進化した結果です。ボールがここに入ってしまうと、拾い上げることすら大変です。

 近くには絶滅危惧種で保護されている野生のランも生えていて、この砂丘自体が保護区域になっています。自然をそのまま維持し続けている場所に、ロイヤルバークデールGCというコースはつくられています。

ロイヤルバークデールGC 【Photo by David Cannon/R&A/Getty Images 】

前哨戦を制した対抗馬。凱旋する米ツアー年間王者

 全英オープンは、9つの名門コースの持ち回りで開催されています。ロイヤルバークデールGCは、それら開催コースの中でも最も風が強いと言われています。大きな砂丘ができあがっていることからも、吹き付ける海風の強さはうかがい知っていただけると思います。

 このコースでは強い風に対応するために、球筋、球質の打ち分けやクリエイティビティ、そして忍耐力が求められます。多くのトーナメントではショットの再現性、つまり安定感の高さがプレーの質につながりますが、ここではそれだけでは勝てません。様々なショットを打ち分けるセンスや特殊なテクニック、ショットのバリエーションが必要です。

1998年、ロイヤルバークデールGCでの全英オープンでプレーするタイガー・ウッズ 【Photo by David Cannon/Getty Images 】

 まず、昨年のチャンピオンであり、現在世界ランク、ポイントランクともに1位のスコッティ・シェフラーは外せません。

 今年はPGAツアー戦、海外メジャーをあわせて15試合に出場していますが、優勝1回、2位が4回、3、4位が2回ずつと常に優勝争いに加わり続けています。ただ一方で、接戦で勝ちきれていないとも言えるので、その点を打破できるかが注目です。

大会直前の会見に臨むスコッティ・シェフラー 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

 そして、今年マスターズ連覇を果たしているロリー・マキロイ。

 イギリスは4つの王国の連合体ですが、そのひとつである北アイルランド出身です。彼にとって「地元のナショナルオープン」である全英オープンは、何よりも価値のある大会です。

大会直前の会見に臨むロリー・マキロイ 【Photo by Michael Reaves/Getty Images】

 そうした優勝候補本命の選手たちに対して、対抗馬として期待されているのが韓国出身の24歳、トム・キムです。

 6月の海外メジャー・全米オープンでは3位。先週行われた全英オープンの前哨戦、スコットランドオープンでも優勝しました。ショットの安定感に加えて、アプローチ、パットも冴え、一回り強くなった印象です。

スコットランドオープンで優勝したトム・キム 【Photo by Sean M. Haffey/Getty Images】

 そしてもう一人、絶対に名前を挙げなければいけないのが、トミー・フリートウッドです。

 彼はこのコースがある街、サウスポートの出身です。そして子供のころからロイヤルバークデールGCで練習を積んできました。地元のスポーツセンターには彼の壁画が描かれるなど、街を挙げた応援を受けてのプレーになります。

練習ラウンドから多くのファンに囲まれるフリートウッド 【Photo by Kate McShane/R&A/Getty Images】

 2024年のパリ五輪では銀メダル。昨年はPGAツアーの年間王者にも輝きました。

 地元でゴルフを始めた少年が世界に羽ばたき、故郷に帰ってくる。凱旋試合での戦いぶりに注目です。

フリートウッドを応援するメッセージボードを掲げる少年 【Photo by Kate McShane/R&A/Getty Images】

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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