C・ロナウドを下げる選択肢はなかったか? ダービーに敗れたポルトガルが力尽きる【ラウンド16・ポルトガルvs.スペイン】

吉田治良

C・ロナウドとヤマルの新旧スーパースター対決としても注目されたラウンド16のイベリア半島ダービーは、スペインに軍配が上がった 【Photo by Hannah Peters - FIFA/FIFA via Getty Images】

 現地時間7月6日、互いに手の内を知り尽くしたポルトガルとスペインのイベリア半島ダービーは、序盤から拮抗した展開となった。明暗を分けたのは、両チームの交代策。途中投入の2人によってアディショナルタイムの劇的な決勝ゴールを生み出したスペインに対して、ポルトガルはキープレーヤーの負傷交代が誤算となった。

 前人未踏の6度目のワールドカップ(W杯)に臨んだ41歳のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドのラストダンスは、またしても初優勝の夢に手が届かず、ラウンド16で終焉を迎えている。

つねに拮抗する意地の張り合いのような姉妹の喧嘩

 イベリア半島におけるただ二人の姉妹――。今は亡き大作家、司馬遼太郎がそう表現したスペインとポルトガルは、主体的にボールを握ろうとするそのフットボールスタイルも、姉妹のようによく似ている。

 だからだろう。意地の張り合いのような姉妹の喧嘩はつねに拮抗した展開となり、直近7試合を振り返っても、実に6試合が90分で決着がついていない。

 それは、通算42回目の対戦となったこのラウンド16での顔合わせでも変わらなかった。

 手の内を知り尽くす両者は、互いに相手の良さを消し合う慎重なゲーム運びを見せる。開始8分にダニ・オルモのダイレクトパスから、オフサイドラインぎりぎりで抜け出したオヤルサバルに決定機を与えて冷や汗をかいたポルトガルだが、この日は立ち上がりからスペインのキーマンであるペドリとラミン・ヤマルをほぼ完璧に封じ込める。

 ペドリに思うように仕事をさせなかったヴィティーニャ以上に出色の出来だったのが、ヌーノ・メンデスだ。ジョアン・フェリックスとのダブルチームで対面のヤマルに自由を与えなかったスピード豊かな左サイドバックは、16分に猛然と前線に駆け上がり、ブルーノ・フェルナンデスの浮き球のパスを引き出してあわやというシーンも作り出している。

 もっとも、メンデスが攻撃参加して空いたサイドのスペースは、スペインにとっても狙いどころだ。直後に返す刀でカウンターを発動すると、ヤマルが得意のカットインから左足を振り、さらにGKのジオゴ・コスタに弾き出されたボールを中央からアレックス・バエナが叩く。

絶大な存在感を放っていたN・メンデスが無念の負傷

攻守両面で不可欠な存在だったN・メンデスが56分に負傷交代。ポルトガルのマルティネス監督は想定外のカードを切らざるを得なかった 【Photo by Lars Baron/Getty Images】

 一瞬でも隙を見せればやられる、そんなハイレベルな攻防に変化が生じるのは、スコアレスで迎えた後半の立ち上がりだった。前半終了間際にはショートCKからクロスバーを叩く強烈な左足のミドルを放つなど、攻守に絶大な存在感を放っていたN・メンデスが、ヤマルと競り合った際に負傷。無念の交代を余儀なくされたのだ。

 左サイドの貴重な矢を失っただけではない。ポルトガルのマルティネス監督にしてみれば、ここで想定外の交代カードを1枚切らざるを得なかったことで、その後の采配が難しくなったに違いない。

 天敵が消えた右サイドでヤマルが次第に輝きを増し、連動して右サイドバックのポロも果敢にインナーラップを仕掛けて縦の奥行きを生み出す。じわじわと後退を強いられたポルトガルもセンターバックのルベン・ディアスを中心に粘り強く守り、最後の一線は越えさせなかったものの、徐々に広がるライン間のスペースをスペインに衝かれるようになっていく。

 それでもポルトガルは、後半のハイドレーションブレイク明けから投入されたラファエル・レオンが、左サイドから持ち前のドリブル突破を披露し、スペインに傾きかけた流れを何とか食い止める。76分にはそのレオンの仕掛けからヴィティーニャがミドルを放ち、こぼれ球をブルーノ・フェルナンデスがボレーで狙うなど、ゴール前のシーンも作っている。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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