苦戦の中でもベストを尽くすアロンソ 元F1王者は何を信じて戦い続けているのか
結果は厳しい。それでも笑顔を失わない
F1デビューは、今から四半世紀前の2001年。ルノー、マクラーレン、フェラーリなどトップチームを渡り歩き、その間に2回、世界チャンピオンになった。しかしフェラーリ時代の2013年を最後に、すでに200戦以上優勝から遠ざかっている。それどころかアストンマーティン・ホンダの今季は、ほぼ毎レース最下位近辺を走り、満足に完走もできない。それでもアロンソは、F1に参戦し続けている。衰えないモチベーションの根源は、何なのだろう。
先週のオーストリアGPも、厳しい結果だった。予選は21番手。決勝レースは、優勝したメルセデスのジョージ・ラッセルから3周遅れの18位完走。元世界チャンピオンからすれば、屈辱以外の何ものでもない。
レース直後のアロンソは、さすがに憮然とした表情だった。それでも「レースを完走できて、十分にデータ収集できたことは大きい。レース運営の部分でも、改善が見られる」と、語っていた。さらに前日の予選後インタビューでは、21番手にもかかわらず笑顔さえ浮かべていた。
「確かに僕たちは、まだかなり遅い。でも今日の予選は、あらゆるコーナーを限界まで攻めることができた。そんなことは、今季初めてだったよ」。そう語るアロンソの表情は、かつてポールポジション争いをしていた頃のものだった。
マクラーレン・ホンダ時代との大きな違いとは
20世紀終盤のマクラーレン・ホンダは最強だった。その彼らが再びタッグを組んだことへの期待が大きかった分、アロンソの落胆は大きかった。しかしそれを言うなら今のアストンマーティン・ホンダへの落胆も、負けず劣らず大きいはずである。
なにしろ世界的な大富豪ローレンス・ストロールが数百億円を投じて最新鋭のファクトリーを建設し、トップチームから優秀なエンジニアたちを引き抜いた。ホンダもマクラーレン時代の低迷から見事に復活を遂げ、レッドブルと組んだ去年までは最強PU(パワーユニット)の名をほしいままにしていた。アロンソが再び頂点を極める要素は、すべて揃ったはずだった。
しかし上述のように、チームはスタートダッシュに失敗し、今も失速したままだ。ところがアロンソからは苛立ちの声も、表立った批判も聞こえてこない。それは、なぜなのだろう。