大谷翔平が試合中に伝えたメッセージとは? 若き捕手ラッシングが学ぶべき「メジャーの流儀」
初回から狂った大谷との呼吸
そのとき、マウンドに新人などがいると、「お前、誰だ?」と言わんばかりに下から見上げるような仕草をする。これを相手投手はどう思ったか。当時、マリナーズでクローザーを務めていたトム・ウィルヘルムセンが教えてくれた。
「ルーキーに対してやることで有名だった。こっちは、『チクショー、なめやがって』と思う。でも、そうやって頭に血が昇った時点で負け。冷静に投げられなくなる」
ジーターにしてみれば、それが狙いだったか。
ちなみにこれを、逆の立場――新人の打者が、ベテラン投手にやったらどうなるか? おそらく次の瞬間、その打者は、地面にうずくまっているはずだ。
そんなアンリトゥン・ルールは他にも存在し、内角球を投げられた打者が、投手に向かって腕を広げて、手のひらを上に向けた瞬間、両軍のダグアウトから選手が出てくる。
その行為は本来、チームメートの間でも御法度。特に若い選手が、実績のある選手にやった場合、“指導案件”となる。先日の試合でそれを大谷翔平に対してやってしまったダルトン・ラッシングの横に、フレディ・フリーマン、デイブ・ロバーツ監督が相次いで座って、諭すように話していたのは、まさにそういう背景がある。
あの試合――大谷が先発した24日(※日時はすべて現地時間)のツインズ戦を振り返ると、初回から二人の呼吸が合っていなかった。
簡単に2死を取った後、3人目の打者に対する初球のシンカーをラッシングは弾いた。あれがサインミスなら、すぐにラッシングはマウンドへ駆け寄ったはずだが、そうではなかったので、単に捕れなかっただけということになるが、だとしたらそれはそれで、キャッチングが雑だった。
問題はその次の球。やはりシンカーが外角低めに決まったかに見えたが、判定はボール。大谷はすぐさま、ABSチャレンジを求めるような仕草をしたが、ラッシングはスルー。実際は枠にかかっており、チャレンジしていればストライクだった。
2-0か1-1か、その差は小さくないが、まだ初回であり、失敗した場合、いきなり権利を一つ失うことになる。ラッシングはそれを恐れたのかもしれないが、結局大谷はその打者を四球で歩かせ、その時点でかなりイライラしているようだった。
その回は無失点で切り抜けたものの、二回は、1死一塁からスプリットを多投して連打を浴びて満塁に。この配球も謎だったが、問題が起きたのは、その直後。初球、大谷のシンカーをラッシングが捕逸し、ボールがドジャースのダウアウトに入ってしまった。このとき、ベースカバーに入った大谷は天を仰ぎ、ラッシングは大谷の方を見ながら、マスクを持った右手の手のひらを上に向け、さらにダグアウトの方向を見た。これが先ほど触れた一連の経緯である。
「ちょっと、あれはどうだろう」
直後にやり取りをしたある元選手は、すぐにラッシングの態度を指摘した。
「自分は間違っていないと言わんばかり。印象は良くない」
直後、ラッシングがマウンドへ。このとき大谷はこう口にしていたのでは? と、ある米メディアが読唇術を使って推測していた。
「Last time?」(最後のでしょ?)
「Last one?」(最後のだよね?)
「Fastball?」 (真っ直ぐでしょ?)
まず、大谷が口元を隠さなかったこと自体が驚き。彼もまた、冷静さを失っていたのではないか。
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