東北楽天の「017」→韓国で「19」背負うローテ左腕に スカウト期待通りの活躍、その先狙うは…

室井昌也

韓国のイーグルスで19番を背負う王彦程 【写真:ハンファイーグルス】

 背番号19。

 その番号を背負って投げることにやりがいを感じている投手がいる。韓国KBOリーグでプレーする台湾出身左腕、ハンファの王彦程(ワン・イェンチェン、25)だ。

 王彦程は昨季まで7シーズン、楽天で育成選手として過ごした。その間、背にしていた数字は「017」。

 いま、王彦程は二ケタの番号が施されたユニフォームを纏い、たくさんの観客の前でマウンドに立っている。

「とっても充実しています」。王彦程は2度目の異国の地で笑顔を見せる。

先発として期待通りの活躍

 王彦程は先発投手としてここまで16試合に登板し6勝3敗、防御率3.59。ハンファ投手陣の中で勝ち星、投球回数ともに元メジャー左腕リュ・ヒョンジン(39)に次ぐチーム2位を記録している。

 王彦程は今季、KBOリーグで新導入の外国人選手制度「アジアクォーター制(アジア枠)」でハンファ入りした。同制度はアジアまたは豪州国籍の選手を、これまでの外国人枠とは別に1人獲得できるもの。その第1号が王彦程だった。

「うちのチームは王彦程、一択でした」(ハンファ球団編成担当)

 ハンファは同制度導入を翌年に控えた2025年シーズン、アメリカ視察がメインだった海外スカウト陣をNPBのファームに集中的に派遣した。

 調査を続ける中で第一候補としてリストアップしたのが、チームが求める「左の先発投手」として役割を果たす王彦程だった。昨季の王彦程はイースタン・リーグで116イニングを投げて10勝をマークした。

日本仕込みの長所と課題

左の先発投手を求めたハンファにとって王彦程は理想的な存在だった 【写真:ハンファイーグルス】

「日本では育成選手でしたが、野球をあきらめようと思ったことは一度もありません」

「楽天ではたくさんの人たちにお世話になりました。特に先輩の宋(家豪)さん、小山コーチ(伸一郎=現BC・千葉コーチ)にはフォームのアドバイスをしてもらいました」

 セットポジションから上げた右足を、軽く下げてからもう一度上げる二段モーション。その「タメ」のきいた投球フォームと安定したコントロールに、「さすが日本仕込み」とハンファ首脳陣は言う。

 平均144キロの直球と多彩な変化球を、両サイドの低めに丁寧に投げ込んでいく王彦程。その配球は捕手とともに組み立てている。

「ピッチコムで自分から球種とコースを決めて出す時もありますし、捕手が主導してサインを出す時もあります。バッターの様子を見ながら、捕手と何を投げるか決めています」

 王彦程は相手打者と駆け引きをしながら抑えていこうとする。その特徴は、特に回の頭の投球に表れる。

 奪三振68個は1位のクァク・ビン(トゥサン)の100個と32個の差があるが、無死での奪三振は31個でリーグ3位と多い。1位のクァク・ビンとは2個差だ。

 一方で無死での四球も15個と多く(リーグ3位)、1イニングあたりの投球数は17.6球。規定投球回到達者の中で最多だ。

「球数が多くなってしまって、5回までしか投げられなかった試合も多いです。この部分は改善していかなければいけないと感じています」

 6月26日のSSG戦に先発した王彦程は、5回2/3、93球を投げて被安打6、四球1、失点1と好投。6勝目を挙げた。三振5つのうち4つが、回の先頭打者から奪ったものだった。

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著者プロフィール

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(論創社)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐にわたる。スポニチアネックスでコラム「室井昌也 月に2回は韓情移入」を担当。Yahoo!ニュースではエキスパートを務める。韓国では06年からスポーツ朝鮮で「室井コラム」を韓国語で連載している。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)に出演中。1972年生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。

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