FA権取得の八村塁に迫る「人生最大級の決断のとき」 レイカーズ残留が確実とは言えない事情と、2つの移籍先候補
前回契約より年俸が下がってしまう可能性
本筋からは逸れるので詳細は省くが、MLEとはサラリーキャップを超過しているチームでも規定の金額内でFA選手と契約ができる特例ルールのことだ。26-27シーズンにおけるノンタックスチーム(給料総額が贅沢税のかかる範囲に到達していないチーム)のMLEは約1500万ドル(約24億円)で、つまり八村の年俸はそのあたりになるのではないかという予測だ。
もしその通りであれば、前回の契約よりも年俸は少し下がってしまう。プレーオフでの活躍のあとでは少々意外な気もするが、レイカーズのチーム状況に加え、今オフはサラリーキャップに空きがあるチームが少ないという事情も、こうした予想の根拠となっているのかもしれない。
ともあれ、リーブス、レブロンの保持が優先事項であると目されるレイカーズが、さらに八村とも年俸1500万〜2000万ドル程度(の4年契約?)の新契約締結に動くのかどうか。
スムーズに事が運んでも不思議はない一方で、レイカーズが尻込みした場合、八村側がもっと良い条件を希望した場合、あるいは他チームがより積極的に動いた場合などは、移籍の可能性が膨らんでくる。
その際には、昨季のプレーオフで大舞台でも活躍できること改めて示した通称“ブラックサムライ”に、少なくない強豪チームが触手を伸ばすだろう。
ウェンバンヤマの隣でのプレーは魅力的
ミルウォーキー・バックスからヤニス・アデトクンボを獲得するビッグトレードをまとめたばかりのヒートは、一躍新シーズンの注目チームになったが、頂点を目指すにはまだ攻撃力が十分ではない。
特にアデトクンボ、バム・アデバヨらが作ったスペースを生かすシューターとして、八村は理想的な補強オプション。やり手のパット・ライリー球団社長に率いられ、八村が好む温暖な土地(マイアミ)に本拠地を置くヒートは、移籍先のダークホース的な存在と言えよう。
スパーズも興味深い候補である。その名を挙げたのは筆者が話を聞いた関係者だけではない。『ESPN』のアナリスト、ボビー・マークスが、6月中旬にスパーズと八村のフィットの良さを指摘したことでもすでに話題になっている。
「スパーズには積極的にFA市場に出て補強する財政面の柔軟性がある。プレーオフを見ても分かるように、彼らにはビクター・ウェンバンヤマを補完できるコンボタイプのビッグマンが必要。また、ストレッチ4(シュートの得意なPF)を考えた場合、八村のような選手が適しているだろう」
昨季、快進撃でファイナルまで勝ち進んだスパーズは、今後毎年のように優勝争いが期待できるチーム。リーグの新たな顔になりつつあるウェンバンヤマの隣でのプレーは魅力的な上に、実はもともと八村が23年にワシントン・ウィザーズからのトレードを望んだ際、希望した移籍先の1つがスパーズだったという縁もある。
レイカーズとの交渉如何で、テキサスの古都への移籍が現実のものとなっても驚くべきではないのかもしれない。
レイカーズの他のFA選手の動向まで含め、とにかく様々な方向性が考えられるだけに、八村の去就を予測するのは極めて難しい。はっきり言えるのは、6月30日のFA交渉解禁とともにチームの動向から目を離すべきではないということだ。
八村にとって、年齢的にもパフォーマンス的にも全盛期でFAマーケットに出る機会は、おそらくこれが最後になる。人生最大級の決断のときは、もう間近に迫っている。
(企画・編集/YOJI-GEN)