元日本代表DF森脇良太のW杯スウェーデン戦解説「空気を変えた長友、ブラジル攻略の鍵を握る右サイドのユニット」

吉田治良

5度目のW杯出場を果たした長友(右)。ここは我慢する時間帯だという森保監督のメッセージを携えてピッチに送り込まれた 【Photo by Alex Slitz/Getty Images】

 6月25日(現地時間、以下同)のスウェーデン戦に1-1で引き分け、北中米ワールドカップ(W杯)のグループステージを2位で突破した森保ジャパン。日本の良さを消され、最後は押し込まれる展開を強いられながら、しぶとくドローに持ち込んだグループステージ最終戦を、元日本代表DFの森脇良太氏は、どう評価するのか? 1986年生まれの同級生、長友佑都への想い、そしてラウンド32で激突するブラジルの攻略法も、併せて訊いた。

日本が不得手とするサッカーを強いられたが

 試合前に森保一監督は「勝ちにいく」とコメントしていましたし、選手たちも同じ気持ちだったと思いますが、同時に「負けたくない」という想いも少なからずあったんじゃないかと、試合を見ていて感じましたね。

 それは引き分けでも3位突破の可能性があるスウェーデンも同じでした。彼らはこれまでセンターバックだった選手(ヴィクトル・リンデレフ)をボランチに入れ、後ろを重くして日本の3バックの裏にロングボールを蹴り込むサッカーに徹していましたからね。

 そうなると、プレッシングからボールを奪って、ショートカウンターからゴールに迫るという、日本らしい攻撃の形がなかなか作れません。どちらかと言うと日本の不得手とするサッカーを強いられて、ボランチを含めた後ろの5人と前の5人が分断されてしまった印象を受けました。ダブルボランチの鎌田大地選手と田中碧選手が、前線のラインを越えてボールに絡むようなプレーもほとんど見られませんでしたし、特に前半は互いにリスクを冒さない、堅い試合展開になりましたね。

 そんな中でも56分に前田大然選手のゴールで先制できたのは、おそらくハーフタイムに森保監督が、相手ディフェンスラインの背後を突く動きを増やすように指示したからだと思います。スウェーデンの3バックはそれほど足が速くないので、そこは狙いどころでした。

 でも、ああいった膠着(こうちゃく)した試合で、何かが起こる前兆もないような状況からチャンスを生み出し、そこでしっかり決め切ってしまうあたりに、今の日本代表の強さをあらためて感じました。狙っていた形であっても、ワンチャンスで仕留めるのは簡単ではありませんから。

中3日のブラジル戦を見据えた選手交代

1-1の状況で堂安(右)、上田、中村といった主力を下げたのは、中3日で迎えるブラジル戦を見据えたからだろう。森脇氏は、森保監督のしたたかさを感じたという 【Photo by Alex Slitz/Getty Images】

 先制しても、このまま1-0で逃げ切ろうという考えはチーム内になかったと思います。もちろんリードした状態で時計の針を進めるプランはあったと思いますが、どうしても追いつきたいスウェーデンが前掛かりにきたところを裏返して、カウンターでとどめを刺そうというイメージは持っていたはずです。

 ただ、前線にアタッカーを4枚並べ、圧力を掛けてきたスウェーデンの攻撃を受け止めきれず、わずか6分後に追いつかれてしまいます。得点した後の10分というのは、しっかりとゼロで抑えなくてはいけない時間帯なんです。残念ながらそこで失点してしまったことは、今後のノックアウトステージの戦いにおいて1つの教訓になったと思います。

 その後も悪い流れを変えられず、スウェーデンに攻勢をかけられましたが、そうした状況で勝負師の森保監督らしい、したたかさが見て取れたのが、終盤の二度の選手交代でした。

 堂安律選手、上田綺世選手、中村敬斗選手といった主力中の主力を残り25分を切ってベンチに下げたのは、ここからは我慢の戦いに徹し、あわよくばカウンターで追加点を狙いながら1-1で乗り切り、中3日で迎えるラウンド32のブラジル戦に備えようという意図があったからだと思うんです。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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