週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

大谷翔平のスイングスピードはなぜ低下したのか? その狙いを読み解く

丹羽政善

今季、大谷の本塁打数は例年と比較するとスローペースだが、スイングスピードとの関係性は… 【写真は共同】

フルスイングからコンタクト重視へ…?

 大谷翔平(ドジャース)のスイングスピードが、2023年に初めて公開されてから、徐々に下がっている。

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〈表1〉 【参照:Baseball Savant】

 併せて、先日から公開が始まった空振りしたときのバットとボールの距離(以下ミスディスタンス)も調べたが、昨年を除き、スイングスピードが低下するに伴って、距離が小さくなっていた。フルスイングするのではなく、コンタクトを重視――つまり、アプローチが変わっているということか?

 何より関連が気になるのは、本塁打のスローペース(表2参照)。22日(※日時はすべて現地時間)も本塁打を放ち、6月6日以降の13試合で7本塁打と量産しているが、現時点ではシーズン35本ペース。4月半ばから5月半ばまでの停滞が響き、チーム79試合終了時点では、2023年より8本、2025年より9本も少ない。

〈表2〉 【参照:Baseball ReferenceのGame Logをもとに作成】

 では、果たして、スイングスピードの低下と本塁打の減少には、因果関係があるのか。アプローチを変えたのだとしたら、そこに起因するのか?

 読み解くべく、まずはミスディスタンスを球種別に分類してみた(表3)。そのときのパーフェクトコンタクト%(ボールが芯付近を通過し、軌道とタイミングも一致した理想的なスイング)も併せて調べてみた。最後に5月12日から6月22日までのデータも併記したが、それは後ほど触れる。

〈表3〉 【参照:Baseball Savant】

 今季のスイングスピードの低下は全球種で明らかだが、想定通り、ミスディスタンス、パーフェクトコンタクト%といったデータとある程度、連動していることがわかる。ファストボール系、ブレーキング系では、ミスディスタンスが小さくなり、特にそれはブレーキングボール系で顕著で、パーフェクトスイングの割合もこの4シーズンではベスト。これがもし、意図的に変化球へのアプローチを変え、空振りの質向上、ひいてはコンタクトの精度向上を意識した結果だとしたら、機能している。

 そうした一方で、表4にまとめたが、打球初速の平均、ハードヒット%(打球初速95マイル以上)も下がっており、バレルに関しては打球角度も絡んでくるが、バレル/打席の割合も下がっている。これも果たして、スイングスピードの低下が原因なのか?

〈表4〉 【参照:Baseball Savant】

 打球初速、ハードヒット%、バレル/PAは、2023年以降では、いずれも最低である。

 バレル/PAについて一つ補足すると、今年は過去2年に比べて引っ張る打球が増加。その引っ張った打球のうち、フライ/ラインドライブの割合が低下しており、それもバレル/PAの悪化を招いているのだろう。

〈表5〉 【参照:Baseball Savantのデータをもとに筆者作成】

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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