泥沼のホンダF1 なぜ同じ失敗を繰り返すのか
マクラーレン・ホンダの初年度より酷い
アロンソにしてみればマクラーレン時代に続き、ホンダには二度目の裏切りにあった、という思いかもしれない。世界最高峰の技術集団として、これまで何十年間もライバルメーカーと鎬(しのぎ)を削り、何度も栄光の頂点に立ってきた。そのホンダが、なぜこれほどまでの苦戦を強いられているのか。原因は単純なパワー不足や、信頼性の問題だけではないようだ。
チーム内に渦巻く不協和音
彼によれば、ランス・ストロールの父で実業家のローレンス・ストロールがチームを完全買収して以降、不可解な人事異動が相次いでいるという。たとえばチームの前身であるフォースインディア時代、ごく限られた予算内で高い戦闘力のマシンを作り上げてきた開発エンジニア、あるいはレース経験豊富な現場エンジニア、そんなベテランたちの多くが去年から今年にかけ退職させられたり、閑職に追いやられたとのことだ。
「代わりにローレンスは、トップチームから多くの上級エンジニアを高給で引き抜いた」。「しかし私に言わせれば、ほとんどの人は古巣での成功体験を自慢するばかりで使い物にならない。そもそも本当に有用な人材なら、前のチームが引き留めるはずだ」。そして最後に、「チーム内は今、ローレンスとエイドリアン(ニューウィ)の顔色を窺う人間ばかりになってしまった」と嘆いた。
その話を聞く限り、アストンマーティンの問題は単なる技術的失策ではなく、組織そのものの機能不全としか思えない。