山下美夢有が持つ「メジャー攻略の奥義」とは… 渋野日向子らにも好機あり、全米女子プロの見どころ

塩畑大輔

【Photo by NurPhoto/Getty Images】

 今季の海外女子メジャー3戦目となる『KPMG全米女子プロゴルフ選手権』が6月25日に開幕する。

 女子プロゴルファー世界一を決める一戦は、賞金総額が女子ゴルフ史上最高額となる1300万ドル(約21億円)となったことでも話題になっている。

 過去最多タイの15選手が出場する日本勢は、1977年の樋口久子以来の優勝を果たせるか。U-NEXTの独占ライブ配信で解説を務める天沼知恵子プロが大会の見どころを語る。

守りつつ攻める。矛盾を矛盾にせぬ実力

 KPMG全米女子プロゴルフ選手権ですが、会場はミネソタ州のヘイゼルティン・ナショナルGCになります。多くのホールで池や小川といったウォーターハザードが絡んでくるのが特徴です。名物ホールの16番はティーショットが池越えになり、フェアウェーの両サイド、さらにはグリーン奥にもウォーターハザードがあります。

 このホールに限らず、グリーン周辺は池や小川と反対側に、絶対に行ってはいけないエリアが配されています。ウォーターハザードを嫌がって逃げすぎると、寄らないアプローチが残ってしまう。ですので、とにかくグリーンを広く使っていくことが大事になります。

 その観点でいえば、山下美夢有選手には注目したいです。他の選手が打っていけない場所にピンポイント打っていく飛び抜けたショット力はもちろん、ある程度セーフティーにグリーンの広いところに打っていった時でも、そこからロングパットを決めにいける技術も持ち合わせています。

前哨戦の『マイヤーLPGAクラシック』をプレーオフの末に制した山下美夢有 【Photo by NurPhoto/Getty Images】

 仮にグリーンを外してしまったとしても、バンカーからパーセーブしたり、難しいアプローチを寄せたりといった引き出しも持っている。攻めと守りのメリハリをつけられるし、守りながらも攻められる。それが彼女の強みです。

 基本的に海外メジャーはコースセッティングが難しく、選手に我慢を強いてきます。ただ、その中でも全米女子プロ選手権は、守り一辺倒でも上位にはいけない側面がある。つまり、セーフティーにつとめつつも攻められる選手に適性があるということ。山下選手は過去に2位という成績もある通り、この大会との相性がいいと思います。

「動じずに淡々と」の価値とは

 それから、精神的な強さというのも、山下選手の強みだと思います。メジャーのセッティングでは、どう打ってもフェアウェイに行かないような、理不尽とも思えるような状況もあり得ます。そういった中でもイライラせずに冷静に対応できるか。

 実は、アメリカ女子ツアーでは普段の大会でも、そうした理不尽にも思えるセッティングが施されていることがあります。例えば5月の『クローガー・クイーンシティ選手権』では、ドライバーショットが基本的にフェアウェーに止まらないようなホールが設けられていました。

どんな状況でも淡々とプレーを続ける 【Photo by Icon Sportswire/Getty Images】

 今回の大会で、そうした理不尽にも思えるセッティングが行われるかどうかはまだ分かりません。ただ、いずれにしても選手たちのメンタルを試すような仕掛けというのは、必ず施されます。

 ティーショットをフェアウェイに運べたとしても、セカンドショットで狙うピンポジションが選手の不安を強くあおる。そんな絶妙な場所に切ってきたりします。単純に難しい、だけとも違う。身体が動くことを拒んでしまうような、メンタルに揺さぶりをかけてくるようなセッティングです。

 そういったものに直面しても、山下選手は動じずに淡々とプレーできる。プレーのリズムを絶対に変えないし、決断も速い。一度決めたら、そこへ一点集中で打っていける。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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