韓国で消えた「球審への抗議」 ロボット審判が変えた野球の風景
6月6日の阪神対楽天で退場処分を受けた、森下翔太(阪神)がこれにあたる。
お隣・韓国のKBOリーグではこのようなシーンを、まったくと言っていいほど見られなくなった。なぜなら球審がストライク、ボールを判定していないからだ。
ロボット審判の仕組みとは
その仕組みは投球を3台のカメラでとらえ、トラッキングデータ(追跡情報)を収集。投球が打者ごとに設定されたストライクゾーンを通過したか否かでストライク、ボールの判定が下される。
判定の伝達は機器から球審が装着したイヤホンにビープ音で届く。球審はそれを聞いてコールする。2020年8月に2軍で試験導入された際は、球審に音が届くまで約2秒かかったが、その後改善されタイムラグなく本格導入された。
ストライクゾーンは打者の身長が基準となる。そのため先月、KBO2軍で遠征試合を行ったソフトバンク3軍の選手たちも試合前に計測を実施。それをシステムに反映させた。ストライクゾーンの高低は上端が打者の身長の55.75%、下端が27.04%だ。
ストライクの判定には投球がストライクゾーンの「2つの面」を通過する必要がある。1つは投手側から見てホームベースの中間地点、もう1つはホームベース終端。この2カ所を通過しないとストライクと判定されない。
高橋建コーチ「ABSは割り切れる」
日本の野球ファンから受けた質問だ。答えは「できない」。イヤホンは球審の他に三塁塁審も着用している。また、判定の根拠となる投球の通過位置を画面に表したタブレットPCが、両軍のベンチに置かれている。同機器にはイヤホンが装着され、球審と同じ音を聞くことができる。
今季からKIAタイガースのファームで投手部門を担当している高橋建コーチ(元広島)は、ABSの長所に「割り切れる」、「納得できる」ことを挙げた。
「投手、捕手、打者それぞれに判定に不満を持ったり、人がやっているからしょうがないという葛藤があったりしますが、ABSは審判に対してそういったものを出さずに済みますし割り切れます」
「あくまで投手目線ですが、現役時代にアマからプロに入ったときに、プロはルール上のストライクゾーンよりも特に高低が狭いと感じました。その点でABSはルールに基づいてストライクゾーンが一貫しているので納得できます」
投球が捕手の構えた位置と異なる側にいく、いわゆる「逆球(ぎゃくだま)」は人間の球審の場合、ストライク判定されにくい傾向がある。しかしABSの場合、逆球の変化球を捕る際に、捕手のミットが流れたり捕球し損なったとしても、投球がストライクゾーンを通過していればストライクだ。