冨安健洋「自分が一番楽しんだと思える大会に」 W杯で取り戻した笑顔、オランダ戦で証明した完全復活
オランダ戦後の取材で最も印象に残ったのは……
一夜明けた6月15日には、ナッシュビルの練習場でU-19日本代表と45分1本勝負の練習試合を行った。日本代表からはオランダ戦で出番のなかった選手たちが中心に出場し、小川航基と町野修斗のゴールにより2-0で勝利を収めた。
本来ならこの練習試合について書きたいのだが、残念ながら内容は非公開だった。よって、今回はオランダ戦後に最も印象的だった選手について書き残しておきたい。
その選手とは、冨安健洋だ。試合を終えてミックスゾーンに姿を見せた背番号22の表情は、かつてなく晴れやかだった。
「間違いなく大きな1ポイントですし、結果だけじゃなくて、内容を見ても2度追いついたことはポジティブに捉えるべきで、次につながる試合かなと思います」
90分間を総括するだけでも、充実感がみなぎっている。75分に渡辺剛との交代で右センターバックに入った冨安は、攻守に安定したパフォーマンスを披露した。広大なスペースをケアしながら、対人守備ではコーディー・ガクポやメンフィス・デパイらを難なく抑え込み、ボール保持時は的確な配球で攻撃を加速させる。
「僕と(菅原)由勢と小川くんが入って『2点目を取りいくよ』というメッセージは明確だった」と、途中出場で与えられたタスクを完璧に遂行。日本代表は冨安の言葉通り、75分の3枚替えをきっかけに主導権を一気に手繰り寄せ、88分の同点弾に至る流れが出来上がった。
「(伊東)純也くんも右サイドにいましたし、純也くんと由勢という、右利きで、どんどん縦に行ってクロスという強みを持っている選手たちなので、どんどんそこを使っていこうと思っていました。その分、僕に求められていたのは(ボールを)失った時のリスクマネジメントや、そこの広いスペースをカバーすることだったと思うので、あんまりそういうシーンはなかったですけど、しっかりと追いつけて良かったです」
再び世界の舞台に挑むまで
2025年12月にオランダ1部の強豪アヤックスと契約を結んで以降も苦しんだ。約1年3カ月ぶりに公式戦の舞台へと戻ってきたはいいものの、左サイドバックをはじめ本職のセンターバックではないポジションでの起用が続いた。また、2026年3月に約2年ぶりの日本代表招集を受けた時点でアヤックスではフル出場が一度もなく、合流直前の負傷により代表活動への参加は叶わなかった。
だが、懸命にアピールを続けた末に2度目のW杯に挑む権利を手にすることができた。森保一監督から冨安への信頼には特別なものがあり、ヨーロッパのトップレベルでプレーしてきた経験と実力を極めて高く評価していた。
日本代表のためなら、自分の起用法がどうなろうと勝利のために全てを尽くす。冨安はその覚悟を胸にW杯へ向けた活動に合流した。どんな形で使われようと、与えられたポジションとタスクに全力で向き合い、何よりもチームの勝利のために行動するという決意は固く揺るがない。
右膝にはまだ痛々しい手術痕が残っているが、コンディションは確実に上がってきた。北中米W杯開幕前には「(状態が)自分の予想より上ということは間違いなくない」と述べつつ、「皆さんが思っている以上にコンディションはいい」と自信をのぞかせてもいた。