敵は氷上の霜!?重くタフなアイスの戦いは今後の糧に カーリング男子12年ぶり五輪へ横浜開催は必ず活きる

竹田聡一郎

男子に続いて午後の女子決勝ではSC軽井沢クラブ女子も優勝、クラブ創設以来初のアベック優勝となった 【(C)JCA/H.IDE】

 神奈川県横浜市の横浜BUNTAIで行われた日本カーリング選手権大会 横浜2026、男子はSC軽井沢クラブが連覇を達成した。

 直近5大会で4回目の優勝ではあるが、今大会は重いアイスに苦しんだ。

 史上最遅の6月開催で、外気温や湿度の影響で氷上には霜が発生。曲げるつもりがないテイクショットが曲がってしまい、ドローショットも場合によってはテイクのウェイトでハックを蹴り出す必要があるほど重かった。

 特にフォースの栁澤李空はかなりアイスリーディングに時間を要した。予選1次リーグこそ全勝で首位通過したが、4戦すべてが最終エンド決着の接戦だった。続く予選2次リーグではまさかの3戦全敗。プレーオフ進出時の順位は4位という薄氷を踏むような戦いが続いた。

 それでも世界で戦ってきた経験が活きた。国内では珍しいアイスではあったが、海外では霜の降りるアイスに巡り合うこともある。

「ショットが決まらないのは下手なのでなく、アイスが難しく変化が分からないから」とスキップの山口剛史は振り返る。セカンドの山本遵も「1投目でミスが出ても2投目で取り返す」と開き直った。 ショットが決まらない時に自分たちの技術を疑ってしまうと、デリバリーやスイープに迷いが生じる。自分たちが培ってきたものを信じて、難しいアイスに挑む1週間だったと言い換えてもいい。

 今大会、フィフスとして帯同した谷田康真はその点こそが良かったと振り返る。

「とても苦しんでいたけれど」としたうえで「1プレー1プレーから情報を拾っていって、徐々にパフォーマンス上がっていた。ショットが決まらなくてフラストレーションは溜まるんですけれど、相手も同じ難しい条件でやっていると理解してプレーにつなげている」と語った。

 ミスは出るけれど同じ轍は踏まない。あるいはミスからアイスの変化を予測するという収穫を得た。

 アイスリーディングの確度と共に栁澤のショットも精度が上がっていった。

 コンサドーレとのプレーオフでは要所で好ショットを沈めて、試合後には「やっと栁澤李空が帰ってきました」とおどけた笑顔を見せ「僕のパフォーマンスが上がるまでチームも僕のようなショットだったらとっくに負けていたと思います」とチームメイトに感謝した。

 尻上がりに調子を上げて迎えた決勝では、ロコ・ソラーレに2失点し先手こそ取られたが、それまで同様にピンチを耐えて好機を待った。

「ワンミスを見逃してくれない。本当に細かいところなんですけれど、そこを突いてくる」とはロコ・ソラーレのスキップ前田拓海の言葉だが、ミスとは呼べない石半分のズレ、ブラシパット1個の隙間をSC軽井沢クラブは見逃さなかった。

 最終スコアは6-5ではあったが「差を感じる決勝だった」と前田。「基礎練習から本当に重点的にやっていきたい」と出直しを誓った。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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