オランダは日本のどこを警戒しているのか? クーマン監督が絶賛した「90分間全力で戦い抜くため」の強み

舩木渉

日本戦の前日記者会見に出席したロナルド・クーマン監督。試合に向けてたくさんのヒントを与えてくれた 【写真:舩木渉】

クーマン監督が考える日本の強みとは?

 いよいよ日本代表の北中米ワールドカップ(W杯)が始まろうとしている。初戦となるオランダ戦を翌日に控えた6月13日(現地時間、以下同)には、試合会場となるダラス・スタジアム(AT&Tスタジアム)で両チームの公式記者会見が行われた。

 日本代表は森保一監督のみが登壇し、オランダ代表からはロナルド・クーマン監督とフレンキー・デ・ヨングが出席。それぞれ約30分間にわたって世界中から集まった記者たちの質問に答えた。

 筆者がより注目していたのは、オランダの記者会見だ。クーマン監督が日本について何を語るのか、翌日の試合に向けたヒントをどれだけ与えてくれるのかを楽しみに聞いていた。

 選手としてW杯に2度出場し、1994年のアメリカ大会に参戦した経験を持つ指揮官は、当時の思い出などにも触れながら日本代表の印象について次のように述べた。

「我々は日本代表に対して良い印象を持っている。一方で、我々はすべての対戦相手を分析しており、彼らの強みがどこにあるのかを見極めている。日本のプレースタイルは攻撃的だ。個々の選手についてはあまり詳しく話したくないが、日本が90分間全力で戦い抜くためのフィジカルの強さを持っていることは分かっている」

 戦術などの細部については言及を避けたものの、オランダは日本のハードワークを警戒している。一方で「我々にもチャンスがある場所を把握してもいる」と、クーマン監督は指摘する。

「どのチームにもそれぞれの強みがあり、弱みとは言わないが、我々が活用できるスペースが時折存在している。それは日本にも当てはまるものだ。我々は対戦相手を尊重しているが、恐れてはいない。日本は(昨年10月の)ホームでのブラジル戦、そして最近のイングランド戦やスコットランド戦で素晴らしい結果を残していることから敬意を払っている。だからこそ、我々は相手をよく理解し、準備を整えていく」

 攻略の鍵となる「スペース」がどこにあるのかは明かさなかった。それでも最大限の警戒をもって日本代表を分析し、決勝トーナメント進出を目指す上でのライバルだと考えているようだ。

「隙を見せない」戦いの意味とは?

堂安律は日本代表の武器となる要素が「世界一になってもおかしくない」と豪語する 【Photo by Koji Watanabe/Getty Images】

 一方、森保監督も日本の強みについて語っている。その内容は、クーマン監督の言葉に通ずるものだった。

「粘り強さは日本人の世界に誇れる良さかなと思っています。ただ単に『粘る』といってもいろいろな切り口や見方があると思いますが、日本人は1つ目標に定めたことがあれば、途中プロセスでは勤勉に、そしてやり続ける力を持っていると思っています。

 サッカーで言えば、試合のスタートから終了のホイッスルが鳴るまでハードワークすることができる。もちろん世界の全てではないですし、どう表現していいかわからないですけど、試合の流れの中で、いい時は続けてできる、状況が悪くなったら集中が切れてしまうのは、試合を見る中でもよく感じるところではあります。ただ、日本人はピッチ内も、そしてスタンドで一緒に戦ってくれているファン・サポーターも、試合の内容にかかわらずプレーし続けられる、戦い続けられる、戦い抜くことができると思っています」

 奇しくも両監督とも日本代表の「強み」に関する認識はほとんど同じ。つまりオランダ側は日本サッカーをよく研究してきているということだ。クーマン監督が言及したように直近1年以内にブラジルやイングランドを破ったことのインパクトも大きく、それが警戒を強める要因の1つにもなっているのだろう。

 日本代表の選手たちが「隙のない戦いをしたい」と口々に述べてきたのも、どんな展開であれ油断なく自分たちの武器を生かすことが勝利への近道だと理解しているからこそだ。堂安律は「凡事徹底」をオランダ戦のキーワードに挙げた。

「こういう大会では、隙を見せればやられる。我慢比べというか、どちらが相手に隙を見せないかの勝負だと思いますし、そういう隙を見せないのが、日本代表が間違いなく世界でも勝てるところ。それを森保さんがこの8年間で徹底的に僕たちに落とし込んできたと思いますし、自分たちは凡事徹底を、試合中もしっかりやりながら臨みたいです」

 では、「隙を見せない」とはどういうことか? 堂安の答えはこうだ。

「一言で言うと『サボらないこと』だと思います。1つひとつのポジショニングと、1つひとつのコーチング。オランダだけではなく世界各国の試合を分析してきましたけど、日本人ほどスプリントバックしているチームはないので。あれを見ていると、僕たちが世界一になってもおかしくないと思っていますし、そういうことを凡事徹底していきたいです」

 攻守の切り替わる局面での振る舞いは、森保監督が常に重視してきた要素。「いい守備からいい攻撃へ」というコンセプトに基づき、ボールを奪われた後のリアクションや、ボールを奪った後に素早くゴールへ向かっていく意識を徹底的に植えつけてきた。

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著者プロフィール

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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