栗山巧 独占手記2026「ファンに伝える志」

「打撃の神髄」は誰かに引き継げるものなのか 栗山巧、一軍で得た新しい感覚と残された時間と

栗山巧

1カ月あまりの1軍生活で得たものとは? 【写真:熊谷仁男】

 交流戦開幕を控えた5月25日、埼玉西武・栗山巧は出場選手登録を抹消された。4月18日の1軍昇格からここまで、代打を中心に起用され9打数1安打1四球と苦しい成績だった。約1カ月の1軍生活で得たものとは? シーズンを通じた独占手記第4回は現役ラストシーズンも折り返しが近づきつつある中で「打撃の神髄」を目指す男が胸中を綴る。
 5月26日、僕は二軍の方に合流しました。今季最初の一軍帯同は、1か月と少しで終わりました。

 こういう打撃をしたい、というところについては、一貫してできていたように思います。
 ただ、結果としては、あの打席数(10打席)の中であと1、2本は打ちたかったなと。最初の打席で1本、しかもすごくいい形で打つことができただけに、その後ももう少し打てれば…というのは感じています。やはり、ベルーナドームのファンの皆さんの前でも打ちたかった。

 前回のコラムで、先発しての打撃と代打としての打撃は「同じ正装でも着物とスーツくらい違う」という言い方をさせていただきました。その難しさをどう解決していくのか。それは次回の一軍帯同までの宿題になると思います。

一軍だからこそ得られた、新しい「感覚」

 他にも宿題はあります。一軍での打席は学びが多く、これからやるべきこともまた見つかるものです。

 今更ながら、なのですが、一軍の投手は本当にコントロールがいい。ずっと一軍にいる間は、普通のこととして流してしまっていたのですが、みんな外角低めいっぱいにきっちりと投げ込んできます。

 打席に限りがあるからこそ、強く思うところもあります。甘い球を確実に仕留めるのはもちろんですが、外角低めいっぱいの球をどうさばいていくのか、というのはこれまで以上に課題と感じました。

 ひとつの仮説としてあるのは、右足の踏み込み方でボールとの距離感を合わせていけば、もっとうまく打てるのではないか、というところです。一軍の打席の中で、たまたま右足を普段よりもホームベースよりに踏み込んだ時に、いつもと違う感覚が生まれました。

 あの間合いがつくれれば、もっといい形で投球の軌道にバットを入れていくことができる。そんな気がしました。今までは右足の役割は、バットのヘッドを走らせるために、右サイドに「壁」をつくることがすべて、だと思っていました。

 投球の軌道に合わせて、右足を踏み込んでいく方向を微調整できれば、もっといい形のインパクトをつくれるはず。そう思うようになってから、徹底してその練習をしています。球団の室内練習場の打席にはモニターがついていて、1球打つごとに自分のフォームが映し出されて、自分のインパクトの形を確認できる。これを使って反復練習することで、投球軌道に対して理想の間合いがとれる確率を高めていきたいと思っています。

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著者プロフィール

1983年9月3日生まれ。兵庫県出身。背番号1。外野手。右投左打。177cm/85kg。プロ24年目。育英高から2001年ドラフト4巡目で西武に入団。2008年に自身初の規定打席に到達し最多安打(167安打)を獲得するなどチームの日本一に貢献。08年から9年連続でシーズン100安打以上を達成、12年から16年まではキャプテンを務めるなどチームの顔として活躍。稀代のヒットメーカーとして安打を積み重ね、21年に生え抜き選手では球団史上初となる通算2000安打を達成した。これまで獲得した主なタイトルは最多安打(08年)、ベストナイン(08、10、11、20年)、ゴールデン・グラブ賞(10年)。

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