「打撃の神髄」は誰かに引き継げるものなのか 栗山巧、一軍で得た新しい感覚と残された時間と
こういう打撃をしたい、というところについては、一貫してできていたように思います。
ただ、結果としては、あの打席数(10打席)の中であと1、2本は打ちたかったなと。最初の打席で1本、しかもすごくいい形で打つことができただけに、その後ももう少し打てれば…というのは感じています。やはり、ベルーナドームのファンの皆さんの前でも打ちたかった。
前回のコラムで、先発しての打撃と代打としての打撃は「同じ正装でも着物とスーツくらい違う」という言い方をさせていただきました。その難しさをどう解決していくのか。それは次回の一軍帯同までの宿題になると思います。
一軍だからこそ得られた、新しい「感覚」
今更ながら、なのですが、一軍の投手は本当にコントロールがいい。ずっと一軍にいる間は、普通のこととして流してしまっていたのですが、みんな外角低めいっぱいにきっちりと投げ込んできます。
打席に限りがあるからこそ、強く思うところもあります。甘い球を確実に仕留めるのはもちろんですが、外角低めいっぱいの球をどうさばいていくのか、というのはこれまで以上に課題と感じました。
ひとつの仮説としてあるのは、右足の踏み込み方でボールとの距離感を合わせていけば、もっとうまく打てるのではないか、というところです。一軍の打席の中で、たまたま右足を普段よりもホームベースよりに踏み込んだ時に、いつもと違う感覚が生まれました。
あの間合いがつくれれば、もっといい形で投球の軌道にバットを入れていくことができる。そんな気がしました。今までは右足の役割は、バットのヘッドを走らせるために、右サイドに「壁」をつくることがすべて、だと思っていました。
投球の軌道に合わせて、右足を踏み込んでいく方向を微調整できれば、もっといい形のインパクトをつくれるはず。そう思うようになってから、徹底してその練習をしています。球団の室内練習場の打席にはモニターがついていて、1球打つごとに自分のフォームが映し出されて、自分のインパクトの形を確認できる。これを使って反復練習することで、投球軌道に対して理想の間合いがとれる確率を高めていきたいと思っています。