衝撃の1・2番爆誕!?伝説の強力打線を新時代セオリーで組み替えてみた ON砲、バース・掛布・岡田は何番に?

DELTA

「ON砲」と呼ばれた王貞治(左)と長嶋茂雄(右)はクリーンナップに座り巨人の黄金時代を築いた 【写真は共同】

 前回は1番に俊足、2番に小技といった従来の打順のセオリーが、現代のデータ分析の観点から考えるとそれほど効率的でないことを説明した。今回はその現代型の打順セオリーを、過去の日本プロ野球の伝説的な打線に当てはめてみたい。

 まず前回の記事で説明したセオリーは以下のようなものだ。

①チームの最強打者は1番、2番、4番に配置(1番が出塁型、4番が長打型がベター)
②その次のレベルの打者を3番、5番に配置
③6番以降は優れた打者順に配置


 こうしたセオリーに則った場合、伝説的な打線はどのような表情を見せるのだろうか。

「ON砲」によるV9打線(1966年巨人)

 プロ野球には数々の伝説的な打線があるが、まず外せないのが王貞治・長嶋茂雄のONにより構成された巨人V9時代の打線だ。今回はONがともに全盛期で、チームも勝率.685を記録した1966年の巨人打線をデータ分析のセオリーをもとに組み替えてみたい。

 この年の代表的な並びは1番柴田勲、2番土井正三、3番王、4番長嶋というものだ。これをOPSを基準として、セイバーメトリクス的なセオリーに則った打順に組み替えてみたい。

 まずセオリーで説明したように、最強の打者が置かれるべきは1・2・4番だ。それに当てはまる打者は誰だろうか。OPSが高い打者3人を抽出すると、この年の巨人打線の場合、王(OPS1.210)、長嶋(.999)、柴田(.711)だった。この打者を1、2、4番に配置するのが最も効率が良さそうだ。3人をどの順番で並べるかは難しいが、3番手の柴田は出塁率が.359と優秀なタイプだ。この出塁型の柴田を1番に据え、2番に王、4番に長嶋を配置したい。従来の打順からすると、王の打順が一つ繰り上がっている。

【データ提供:DELTA】

 そして以降は3番に国松彰、5番に黒江透修を配置。この時代の巨人打線はプロ野球史上最高の栄華を極めたが、実はONを除くと優秀な打者は少ない。この年もこの2選手に頼ったかたちの構成となっていた。そのほかの打者の打力はOPSを見ても大きく変わらず、どのように並べても打線の出力はそれほど変わらないと考えてよいのではないだろうか。

 ちなみに打線を並び替えるとどれほど得点力が変わるのか、コンピュータでシミュレーションができるようになっている。「打順シミュレーター」である。実際にこの変更前後の打線をそれぞれ100シーズンずつシミュレーションし比較してみたところ、変更前の打線は1試合平均4.24得点だったが、変更後は4.31点にまで上昇している。前回のコラムでも紹介したが、現実的にはこうした打順組み換えによる得点力の向上はわずかだ。それでもやはり今回採用した、2番王、4番長嶋の打線のほうがより得点を見込みやすいようだ。

バース・掛布・岡田の「バックスクリーン3連発」(1985年阪神)

1985年、阪神はチーム本塁打219本の猛虎打線が原動力となり球団史上初の日本一に輝いた 【写真は共同】

 ほかに伝説的な打線として知られるのが、1985年の阪神「ニューダイナマイト打線」だ。ランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布のクリーンナップによる「バックスクリーン3連発」で知られるあの強力打線である。この年の阪神打線はこの3人のほかにも、1番に3割30本をクリアした真弓明信をそろえたタレント集団だった。この打線はどのように並び替えられるだろうか。

 まずこの年のOPS上位3人を抽出すると、バース(1.146)、岡田(1.057)、掛布(1.017)だった。この3人を1・2・4番に並べる。どう並べるかだが、突き抜けた長打力をもつバースを4番に。1番に岡田、2番に掛布を配置した。

【データ提供:DELTA】

 そしてほかには4番目に優秀な真弓(.991)を3番打者に。5番にはOPS.775を記録した佐野仙好を起用した。従来の打順では2番に入っていた弘田澄男が6番にまで下がっているのが最も象徴的な変化だろうか。1~4番はまったく隙のないラインナップである。

 この阪神打線についてもシミュレーターで試してみよう。まず打線を組み替える前の従来の並びでは1試合平均得点は5.85点だった。DH制なしにもかかわらず、1試合平均6点近く入る凄まじい打力があらためて実感できる。ただこれでもまだ上積みの余地がある。データ分析の観点で推奨される打順に組み替えてシミュレーションを行ったところ、5.85点から5.89点に上昇した。ほんのわずかであるが効率的になったようだ。

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