「プレッシャーに負けた」渋野日向子が語ったコメント、その真意とは… 上田桃子の全米女子OPレビュー

塩畑大輔

【U-NEXT】

ゴルフの海外女子メジャー、全米女子オープンは8日に最終ラウンドが行われ、世界ランク1位のネリー・コルダが通算8アンダーで優勝した。日本勢は、悲願のメジャー初制覇を目指す畑岡奈紗が通算3アンダー6位、国内女子ツアー組の桑木志帆が同1アンダーの14位、そして予選ラウンド3位通過の渋野日向子が同イーブンパーの17位に入った。彼女たちの戦いぶりについて、U-NEXTのラウンドリポーターを務めた上田桃子が解説する。

鉄壁の冷静さに「ほころび」生じる瞬間

最終日は、主に首位と2打差の5位からスタートした畑岡奈紗選手のラウンドをリポートさせていただきました。

終わった後のインタビューを聞いても、いつもものすごく冷静沈着な印象がありました。
ただ、そんな彼女でも今日はラウンド中に葛藤が生まれたり、冷静さにほころびが生じたりする場面があったように感じました。

畑岡は美しい景色の9番パー4でティーショットを放つ 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

それはまさに、サンデーバックナインに入ったあたりでした。

会場のリビエラカントリークラブを象徴する10番パー4で1オンに成功し、バーディーを挙げて首位に1打差と迫った。
続く11番はパー5。一気にトップに並びかける流れにありました。ですが、30ヤードほどのアプローチを下り3メートルの難しいラインにつけてしまい、バーディーを挙げられなかった。

あのホールを取れていたら、周りを気にせずに自分のプレーにフォーカスできたと思うんです。
でもあれを取れなくて、ちょうど目の前にある順位ボードを見たら、嫌でも上位との差を気にせざるを得なくなる。

畑岡奈紗 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

耐えなきゃいけないホールで、つい無理をしてしまう。ミスが来たときに、より強くダメージを感じてしまう。

難しいシチュエーションになって、さらにスコアも落としてしまうと、いくら普段は冷静沈着な選手であっても焦る。
ツキに見放されてしまっているような気もする。

結果論といえばそれまでなのですが、畑岡選手ほどのアスリートであっても、そういう心理的な窮地に追い込まれてしまう。
それがサンデーバックナイン(メジャー最終日の後半)なのかなと思います。

畑岡奈紗 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

ただ、初日から最終日の前半までのプレーは、さすがの一言でした。

海外メジャーで優勝争いをするには、技術やマネジメントの引き出しの多さと、メンタルのタフさが問われます。

畑岡選手は10年間も世界最高峰のアメリカツアーで戦う中で、誰よりも多くの引き出しを持っている。
加えて、メンタルのタフさも養っていると思います。

初のラウンドリポーターを務めた上田桃子。一般のメディアと一緒にシャトルバスに乗る道すがら、黙々とリサーチ内容をメモする 【U-NEXT】

アメリカツアーを戦う上で、選手にはコース外のところでも心理的な負荷はたくさんあります。

私も向こうでプレーしていた当時は、アジア人という見られ方で苦労した経験があります。
言語の問題も壁だと感じました。

日本だったら当たり前に来る宅配便も届かない。
飛行機も予定どおり飛ばないし、ロストバゲージ(航空会社に預けた荷物を紛失されてしまう)もよくある。

上田は毎日変わるコースコンディションをヤーデージブックに克明にメモしていた 【U-NEXT】

そういうことが多々ある中でやっていると、否が応でもタフになっていく。

私もすごく鍛えられました。
その中で戦い続けられていること自体が、畑岡選手の強さ、タフさを証明している。

レベルが高い舞台だからこそ、そういう選手たちの「地力」があぶり出されるところがある。
4日間戦う中で、畑岡選手が優勝争いに加わってくるのは、ある意味自然な流れなんだと思います。

国内組の健闘、その理由とは

一方で、国内女子ツアーからスポット参戦した桑木志帆選手、佐久間朱莉選手、神谷そら選手の健闘も光りました。

リビエラカントリークラブでプレーする姿をみて、3人ともアプローチとパターの技術が非常に高いとあらためて感じました。

目標の30位を大きく上回る14位に入った桑木。オレンジ柄のウェアは現地のファンの目もひいた 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

昔の国内女子ツアーは、どちらかというとスコアを落とさないように、守りのプレーをすることが上位進出のカギになっていた気がします。

でも今は違う。

第2ラウンドの10番パー4でイーグルを挙げた佐久間。正確なショットとアプローチは世界で戦えるレベルにある 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

大会によって、バーディー合戦の週もあれば、耐えなきゃいけない週もある。

そうした中で、プレーの引き出しは確実に増えている。
だからこそ3人とも、コースコンディションや状況が刻一刻と変わる海外メジャーでも、しっかり4日間を戦いきることができたのだと思います。

神谷はパター巧者ぶりに加え、3日目同組のネリー・コルダを上回る飛距離でも会場を沸かせた 【Photo by Ryan Sirius Sun/Getty Images】

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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