森保ジャパン躍進のカギを握るコンディション問題 遠藤、冨安らの復調でW杯はどうなる?

大島和人

キャプテン遠藤航(右から4人目)の復調はW杯に向けた注目ポイント 【写真は共同】

 サッカー日本代表のFIFAワールドカップ(W杯)26初戦は、6月15日(以下、日本時間)のオランダ戦。そこから21日のチュニジア戦、26日のスウェーデン戦とグループFの3試合があり、リーグステージを突破すれば「ラウンド32」が待っている。

 W杯に向けた最後の対外試合が5月31日に国立競技場で行われ、日本はアイスランドに1-0 で勝利した。アイスランド戦は日本代表を北米に送り出す「壮行会」であり、吉田麻也の功績を称えるイベントでもあった。フットボールとしてみれば純然たる調整の場で、森保一監督は合計11枚の交代カードを切っている。

 選出された26名の選手たちは、まだ状態がバラバラだ。三笘薫、南野拓実のように負傷で出場を逃した選手もおり、そもそもこの世界で全員が万全という状況はありえない。欧州5大リーグは5月16日から25日の間にリーグ戦を終えたばかり。まず疲れを取ることが先決で、無理をさせる時期ではない。また鎌田大地はUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ決勝を5月28日に戦い、チームに合流していなかった。

 逆に「少し長く試合に出しておきたい」選手もいた。例えばキャプテン遠藤航は2月11日以降、リヴァプールでリーグ戦に出場していない。冨安健洋も長期欠場、半年の無所属期間を経て昨年12月にアヤックスと契約したが、ここまでの出場は交代6試合のみ。こういった選手を90分プレーできる状態に引き上げることも、アイスランド戦の大切な目的だった。

負傷明けの遠藤、冨安は?

 87分の決勝点で日本が1-0と勝利した試合だが、遠藤はハーフタイムに不本意な形で交代している。ただ試合後は収穫を語ってくれた。

「本当はもうちょっとプレーしたかったところですが、ちょっと違和感もあった。でも半分やったというのは、自分にとってすごく大事な時間だったと思います。チームとしては最後にしっかり点を取って勝ち切れて良かった」

 「違和感」については、こう述べている。

「ちょっと説明は難しいし複雑ですけど、別にオペ(手術)したところがおかしいわけではないので、そこは心配してもらわなくて大丈夫です。周りに張りが出やすかったりして、張りが出ると、走るとき左右差がある感じになる。プレーがまったくできないわけではありません。90 分やるつもりではいましたけど、3カ月半空いていたので、それをできた方がちょっとおかしいかなという感じでした。この時期にはポジティブというか、逆にいい負荷がかかったと思います」

 冨安は83分まで出場し、無失点に貢献した。右センターバックの位置から精力的に攻撃にも絡み、前半のアディショナルタイムには決定的なシュートも放っている。

 自らの“惜しいシュート”について彼はこう振り返る。

「とりあえず枠に入れたい気持ちがあって、振って枠を外すよりはと思いました、決められたらよかったですけど、W杯で決められたらと思います」

 コンディション、長時間出場の不安を問う質問に対してはこう返していた。

「まだやれる感覚で交代しました。長くプレーすることに関しては、ずっと練習をできていたので、その積み上げはあるなと思っていた。特に不安はないです」

手厚くなった最終ライン

 試合後の会見で、森保監督はこう語っている。

「ヨーロッパでプレーしている選手が多く、コンディション調整が難しい中、選手たちのコンディションを上げながら、かつ限られた時間の中で戦術を共有する必要がありました。コーチから与えられるミーティングの情報とトレーニングの中で、役割を理解しながら、与えられた時間の中で最高のチームにしてくれたと思っています」

 冨安、遠藤ついてはこう触れている。

「2人とも今できるプレーという部分で、しっかりパフォーマンスを見せてくれました。しかし彼らが持っている最高のプレーからすれば、まだまだ上げていけるところもあると感じた試合でした。残りの期間に、かなりコンディションが上がっていくと思いますし、さらに上げていけるようにチームでサポートしていきたい」

 日本代表の選手層は前回、前々回のW杯に比べて大幅に増している。このチームの中で言えばFW上田綺世、GK鈴木彩艶は突出した中心選手だが、他はいい意味で「誰が出ても大きな差が出ない」状況に見える。

 日本は昨年10月14日、東京で行われた親善試合において、ブラジルを3-2で下している。このときの3バックは右から渡辺剛、谷口彰悟、鈴木淳之介という並びで、彼らは現代表チームのメンバーにも入っている。一方でアイスランド戦は「冨安、板倉滉、伊藤洋輝」の3バックが試された。

 彼らの負傷が癒えたことで、守備陣はほぼベストメンバーで本大会に臨める。それだけでなく「もう1セット」組めるところに今の日本の強さがある。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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