ラッセル痛恨の0ポイントリタイア 速いのに、なぜタイトルが遠ざかる?
ラッセル復活の週末だったはずが……
勝っていれば、アントネッリとの差は前戦終了時点の20ポイントから、逆転も十分射程距離の11ポイントまで縮まるはずだった。しかしラッセルは0ポイントに終わり、逆にアントネッリは悠々と優勝。今季4勝目をあげたことで、両者の差は43ポイントまで広がった。シーズン序盤でこの差は、控えめに言ってもかなり挽回が難しい。ラッセルが復活を感じさせたカナダGPは、皮肉にもタイトル争いからさらに遠ざかる週末になってしまった。
ちなみにF1の70年以上の歴史の中で、4連勝しながらチャンピオンになれなかったドライバーは、2016年のルイス・ハミルトンだけだ。
速いのに、なぜ勝てない?
レースもスタートで出遅れ3番手に後退しながら、再び首位をもぎ取り、力強い走りを続けていた。しかしメカトラブルが発生し、リタイア。選手権での差は、さらに広がる結果になった。
チャンピオン本命と目されたドライバーが敗れ去ることは、確かにF1では珍しいことではない。それはF1が必ずしも、「最速ドライバー決定戦」ではないからである。
あるドライバーが王者になるシーズンは、不思議なほどすべてが噛み合うものだ。セーフティカーのタイミング、タイヤ戦略、マシントラブル、ライバルのミス……。説明のつかない「流れ」が、確かに存在するのだ。一方で敗れたドライバーには、逆の事象が起きる。今季のラッセルで言えば、日本GPでのセーフティカー導入のタイミング、中国GP予選でのアタックミス、そして今回のカナダでのパワーユニットトラブルと、「わずかな歯車のズレ」がすべてラッセル側に起き、レース結果に少なからず影響を及ぼした。
つまりF1で勝つのは最も速い者ではなく、流れを引き寄せた者だということだ。そして今、流れは明らかにアントネッリに傾いている。