アシスト2位と大ブレイクの台湾出身PG B1滋賀・游艾喆が語る恩人と、お気に入りの日本人PG

大島和人

游艾喆はプロ2年目の今季、B1でも2位のアシスト数を記録 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグには「アジア特別枠」という登録制度があり、アジア各国の有力選手がプレーをしている。2025-26シーズンならば韓国代表イ・ヒョンジュン(長崎ヴェルカ)やフィリピン代表キーファー・ラベナ(横浜ビー・コルセアーズ)、レバノン代表セルジオ・エルダーウィッチ(仙台89ERS)らの活躍があった。

 游艾喆(ゆう・あいちぇ)もそんな一人だ。チャイニーズタイペイ代表でもプレーしている24歳で、2024-25シーズンからB1「滋賀レイクス」に所属している。今後の成長も楽しみな180センチ・78キロのポイントガード(PG)だ。

 台湾での彼は高校、大学とタイトルを総なめしているトッププロスペクトだった。国立政治大時代は4年連続でアシスト・スティール王を獲得し、MVPにも2度輝いている。滋賀でプロのキャリアをスタートさせると、来日2シーズン目となった今季は完全にブレイク。1試合平均のアシストは「6.4」で、B1全体で2位の好成績だった。チームもチャンピオンシップ出場は叶わなかったが、昨季の8勝から今季は23勝と戦績を伸ばしている。

 今回のインタビューではBリーグとアジアの「新星」としてさらなる活躍を期待される逸材が、自身のキャリアと成長の理由、今後の抱負を語っている。

游選手が感謝するチームメイトは誰?

――まず、2025-26シーズンの振り返りをお願いします。

 プロとして2シーズン目になり、自分もチームもかなりの進歩を感じていました。他のチームのオフェンス、ディフェンス(DF)に慣れて、コート上で自信が持てるようになりました。チームとしてチャンピオンシップ圏内に入れませんでしたが、今シーズンは成功できたと思っています。

――自分の成長を感じるのは、どのような部分ですか?

 PGはコート上でのコミュニケーションが大切です。昨シーズンはルーキーで、初めて海外でプレーをしたということもあり、英語のコミュニケーションに慣れることができませんでした。今年は自らチームメイトにコミュニケーションを取って、チームの連携を作り出して、もっといいプレーができるようになりました。自分にとっても、チームメイトたちにとっても、いい環境を作れていると感じています。

――チームメートから英語を教わっている、サポートしてもらっていると聞きました。

 江原信太朗選手は私と年齢が一緒で、大学のときに対戦しています。彼がよく日本の文化、英会話を教えてくれています。江原選手のおかげで、オンコートもオフコートも安心感を持てて、日本の生活とプレーに早く慣れることができました。(編注:江原選手は父がアメリカ人で英語が堪能)

――江原選手と対戦したのはWUBS(World University Basketball Series)ですか?

 はい。国立政治大と東海大で対戦しています。

――オフコートでも一緒に過ごすことがよくあるんですね。

 話題にする話も近いので、一緒に京都へ行ったり、ご飯に一緒に行ったりしています。

――会話は日本語と英語のミックスですか?

 メインは英語ですが、たまに日本語を教えてくれます。

15アシストを決めた千葉J戦は印象に

26年4月11日の千葉J戦は逆転勝利に大きく貢献 【(C)B.LEAGUE】

――来日して滋賀で印象深い試合はありますか?

 2試合あります。一つ目は、ルーキーイヤーの琉球ゴールデンキングス戦(2024年10月19日/89◯81)で、プロに入って5試合目で初勝利でした。

 二つ目は今シーズンの千葉ジェッツ戦(2026年4月11日)です。第4クォーターだけで9アシストを決めて、自分のキャリアハイとなる15アシストを記録しました。チームも43-57とリードされた状態で第4クォーターに入り、そこから逆転し72-67で勝ちました。

――千葉Jなら、富樫勇樹がいますし、Bリーグで色んなPGとマッチアップしているはずです。対戦した中で「この選手はすごい」と思った相手は誰かいますか?

 自分は子どもの頃から日本のガードも見てきて、ほぼ全員好きなのですが、特に印象が強いのは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実選手です。代表戦でも対戦しましたが、プレーはかなりアグレッシブで「チームの勝利」に貢献できるガードです。自分も、そういう存在に少しでも近づきたいと考えています。

代表チームでは日本と対戦

チャイニーズタイペイ代表として11月、12月のW杯予選で日本と対戦 【(C)FIBA】

――昨年チャイニーズタイペイと日本はW杯予選で2試合を戦いました。11月28日に神戸で行われた試合は90-64、12月1日に台湾で行われた試合も80-73で日本が勝利しています。日本代表の印象、チャイニーズタイペイが勝利するための方法について考えはありますか?

 自分は日本でしかプレーしたことがないですけど、日本はアジアの中でもレベルの高いチームです。今回の2試合は長いプレータイムがあったわけではないので、そこまでコメントできません。ただ、ベンチで見たらやはりDFのプレッシャーが強くてそれが効いて、チャイニーズタイペイはオフェンスの連携が崩れていました。チャイニーズタイペイが日本に勝つならば、同じレベルでDFのプレッシャーを掛けないといけません。同じDFができる「仕組み」を代表にも伝えられればと思うし、自分も(DFを)頑張ります。

――チャイニーズタイペイの代表だと、レイ・チェン(陳盈駿)選手は中国本土のCBAでプレーしています。游選手は前から日本のバスケを見ていたとのことですが、日本のバスケに関する情報や、憧れを持って滋賀に来たのですか?

 Bリーグへの憧れより、大学時代に日本のチームと対戦したことがその後のキャリアに影響を与えました。日本のガードは現代バスケの潮流に合ったプレーをしていると感じたし、自分もここでプレーできたら、いいガードと対戦できるなと思いました。だから滋賀レイクスのオファーが来たとき「行きます!」とすぐ決めました。

――游選手が考える自分の強みとか、「ここは Bリーグの中でも特別だ」と言える部分はどういうところですか?

 まだ色々と勉強しないといけない部分もありますけど、Bリーグでプレーして強みと感じるのは、短時間の判断力と、クリエイティブな部分です。

――游選手は相手と近い間合いでもパスを通すし、パスの能力はBリーグの中でも特別です。

 チームメイトがいいポジションにいたら、PGはそこにパスを出さないといけないし、それがPGの責任だと思います。自分のチームメイトたちが戦術的にでも、偶然的にでも、そのポジションにいたなら瞬時の判断でパスをすることはPGとして一番大事な能力です。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、バレーボール、五輪種目と幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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