失敗から学び、前に進み続けたアメリカでの2年間 佐々木麟太郎がドラフト前に示した成長の中身とは?【前編】

丹羽政善

佐々木麟太郎は今シーズンの成長を実感し、MLBのドラフトを迎える 【Photo by Matthew Huang/Icon Sportswire via Getty Images】

短期間で見せた驚異の修正力

 日中の日差しは肌を差すほどの暑さ。ところが、日が落ちると、サンフランシスコ湾からの冷たい海風にさらされるカリフォルニア州バークレー。

 今季、スタンフォード大対UCバークレーは、レギュラーシーズンの最後(5月14〜16日)に対戦が組まれ、ナイターで行われた最初の2試合は、試合開始時と終了時の寒暖差が10度以上という中で行われたが、日本なら早慶戦に匹敵する伝統の一戦は熱気に包まれ、15、16日は、客席に立錐(りっすい)の余地もなかった。

 初戦をものにし、3連勝すれば、翌週18日から行われるACCのカンファレンストーナメントでシードされる可能性があったスタンフォード大だが、2戦目に接戦を落とすと、そのチャンスが低くなった。もっとも試合後、佐々木麟太郎が浮かない顔をしていたのは、それだけが理由ではない。その試合で無安打に終わると、「ここ2、3試合は少し感覚が噛み合っていない。引っ張り方向のゴロが増えている」と吐露した。

 その試合と前日の試合は、一、二塁間を抜けて右前に達した安打も含め、前に飛んだすべての打球が右方向へのゴロ。

「角度がつかなくて......」

 彼にとっては、一番打撃状態が良くないパターンだった。

レギュラーシーズン最後のUCバークレー戦で、佐々木麟太郎は進化の証を見せつけた 【筆者撮影】

 ところが翌日の最終戦では、三振、四球の後の3打席目と4打席目は、センター、レフトへと角度をつけた。4打席目は凡退する前、右翼ポール際へ大飛球。ファールになったが、着地点が見えないほどの飛距離だった。

「あれは風ですね。風に流されました」

 淡々と振り返った佐々木だが、客観的に見て驚いたのは、短期間での修正力だ。

 大谷翔平(ドジャース)もそうだが、タイミングが合っていないときは、コンタクトポイントが前になりすぎて、スイング軌道が上向きとなった瞬間にボールと衝突することでゴロになる。佐々木も自分にその傾向があることは理解しているが、最終戦の前までにタイミングを微調整した結果が、ともに本塁打とは紙一重という外野への飛球だった。

 修正力の向上。佐々木はそれを実感しているからこそ、「また一歩、自分自身が成長、進化できたシーズン。経験したことを生かせたシーズン」と言い切れる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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