村上宗隆はなぜ追い込まれても打てるのか? ジャッジ級データが示す“2ストライクアプローチ”の正体
ジャッジに迫る2ストライクの数字
例えば、17本塁打のうち7本塁打は2ストライクから。これはリーグ2位タイで、1位はアーロン・ジャッジの8本なのでわずか1差。また、追い込まれてからのハードヒット率(打球初速95マイル以上)は60.9%で、これはリーグ4位。1位はジャッジで68.5%。そもそも村上の平均ハードヒット率は59.0%なので、2ストライクのときの方が上なのである。また、スイングスピードは74.4マイル。平均は75.2マイルなので、ほぼ変わらない(記録はすべて19日試合終了時)。
そうしたデータを伝えると、村上は言った。
「2ストライクであっても、しっかり自分のプランを立てながら、やることは意識します」
その意識は、しっかり結果に表れていると言えるのではないか。
さてかつて、最後の4割打者として知られるテッド・ウィリアムズは、「The Science of Hitting」という自著で、こう2ストライクアプローチについて書いている。
① 追い込まれてもゾーンを広げない
② スイングを変えない(短くバットを持つ、コンパクトに振るは間違い)
③ 際どい球を見逃して三振することは、ボール球を振って凡打になるよりもいい
村上に当てはめると、①に関しては前回紹介した通りで、その後もその傾向に変化はない。2ストライクでボールを振る割合は27.8%で、リーグ平均の約40%を大きく下回る。②に関しても今回、村上が同じようなアプローチを心がけていることがわかった。
では、③はどうか?
村上に聞いたものの「いや、それはないと思います」と苦笑しながら答え、見逃し三振を受け入れることには否定的だった。
「どっちの結果も良くないですけど、もちろん、相手が素晴らしいコースに決めた球に対して、打つ確率はすごく低くなると思いますけど、打てる球はしっかり打ちたいなと思いますし、どの打席も、ちゃんとホームランだったり、ヒットだったりというのは、打ちたいなと思って打席に立っています」
それがウィリアムズの言葉であることを伝えると村上は、「天才の考えることは分からない」と頬を緩めた。とはいえ、2つは同じであり、ゾーンを広げず、追い込まれても自分のスイングに徹する――それは図らずも相手にプレッシャーを与えている。
19日の試合。六回2死二塁で村上が打席に向かうと、マリナーズのダン・ウィルソン監督は、それまでわずか被安打1のブライス・ミラーを代えた。
「村上と3回も(同じ投手と)対戦させるのは危険だと思った」
その説明こそが、いまの村上の現在地を的確に言い表していた。
(編集:スリーライト)