村上宗隆はなぜ追い込まれても打てるのか? ジャッジ級データが示す“2ストライクアプローチ”の正体
追い込まれてからの真価
すると村上は、不意に立ち上がった。
至近距離の村上の大きさに圧倒されたが、自己紹介をすると、村上がこう返した。
「村上です、よろしくお願いします」
体の大きさより、その律儀さにより驚かされた。
もう何年も前のことだが、誰かがイチローさん(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に挨拶する場面に出くわしたことがある。
すると、イチローさんもこう応じた。
「イチローです」
おそらくその時点で、イチローさんのことを知らない、という人を探すことの方が難しかったはず。挨拶した人も呆気にとられ、「もちろん、存じ上げています」というツッコミが喉元まで出かかったはずだが、その言葉をそのまま飲み込んだ。
「村上です」の一言にその記憶が蘇ったが、そういうところにその人の素が出るのかもしれない。
さて、その村上は20日現在、17本塁打を放ち、それが過去3年連続で100敗を喫したチームが地区2位につけている原動力ともなっているが、彼の活躍がフロックではないこともまた、疑いがない。
18日のマリナーズ戦。村上は全4打席で1-2と追い込まれた。しかし、そのうちの3打席で出塁を果たしている。1打席目は、1-2から高めの釣り球、バックフットのスライダーなどを見逃して四球。2打席目もやはり、1-2から高めの釣り球を見逃した後、配球を読んでいたかのように相手先発のブライアン・ウーが投じた低めのスライダーを捉え一、二塁間を破った。八回の4打席目は相手が左に代わっていたが、1-2の後、低めのシンカーを二遊間に転がして、内野安打を記録している。
前回のコラムで、村上の選球眼について触れたが、日本からメジャーに来てストライクゾーンが変わった。そもそもメジャーでは今季からABS(ロボット審判)が導入され、ストライクゾーンが微妙に変化している。対戦する投手はほぼ初対戦ばかりで、軌道を見るのも初めて。それなのにまるで2ストライクになることを怖がっていないように映る。よほどゾーンの見極めに自信があるのではないかーー。
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