週刊ドラフトレポート2026

大商大の投打の中心! 甲子園沸かせた“あの投手”の控えが大学で急成長、2年秋に1試合3発放った右の長距離砲

西尾典文

ボールの出所が見づらいフォームを持ち味にしている大阪商業大・星野世那(左)と、たくましい体格を生かしたパワーヒッターの大阪商業大・春山陽登(右) 【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。今回は大学選手権出場を決めた大阪商業大の投打の柱を紹介します。

山田陽翔の控えだった高校時代から、全国屈指のサウスポーに成長!

昨秋に最優秀防御率も獲得した大阪商業大・星野は、5月16日には完封勝利も収めるなど成長を続けている 【撮影:西尾典文】

星野世那(大阪商業大 4年 投手 179cm/78kg 左投/左打)

【将来像】早川隆久(楽天)
ボールの出所が見づらく、数字以上に勢いのあるストレートは早川とイメージが近い
【指名オススメ球団】オリックス
宮城大弥が長期離脱となり、左の先発候補を補強したいチーム事情から
【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名(2位以上)の可能性あり

 関西六大学野球で2季ぶりの優勝を決めた大阪商業大。力のある選手は多いが、投手で高い注目を集めているのが星野世那だ。近江では2年夏から3季連続で甲子園に出場。しかし当時のチームは同学年の絶対的なエース山田陽翔(現・西武)がおり、星野は控え投手だった。3年夏にはリリーフで4試合に登板したものの強い印象は残っていない。

 そんな星野の印象が一変したのが大学2年の春だ。リーグ戦では出遅れて登板がなかったものの、大学選手権では2回戦の早稲田大戦で先発を任せられると8回を投げて無失点、11奪三振の快投を演じて見せたのだ。2年秋には先発の一角に定着し、最優秀防御率のタイトルも獲得している。この頃から2026年のドラフト候補として星野の名前がよく聞かれるようになった。

 昨年秋は肘を痛めた影響でわずか1試合の登板に終わったが、この春は先発に復帰。その復調ぶりを確かめるべく、5月16日の京都産業大戦に足を運んだ。勝ち点をとれば優勝という重要な試合だったが、この日の星野は立ち上がりから安定したピッチングを披露。9回を一人で投げ切り、被安打5、2四球、10奪三振で見事に完封勝利をあげて見せた。

 変化球はチェンジアップ、ツーシームと2種類の落ちるボールを上手く操り、しっかり低めに集めることができている。スライダーの変化が少し早いのは課題だが、それでも右打者の膝元にしっかり投げ切っており、カウントをとるのには十分なボールだった。

 ストレートは立ち上がりから9回までコンスタントに145キロ前後をマークしたが、数字以上にボールの勢いがあり、高めのボールで空振りを奪えるのも魅力だ。特に見どころがあったのが9回、ツーアウト二塁の場面だ。直前に味方の好守で失点を防いだこともあってか明らかにギアが上がり、最後までストレートで押しきって空振り三振を奪って見せたのだ。この投球が裏のサヨナラ勝ちにつながったと言えるだろう。

 星野の持ち味はボールの出所が見づらいフォームにある。右足を上げたときの姿勢が良く、左肩が下がる動きや肩が左右に振られるような動きもなく、直線的にステップすることができており、ギリギリまで体の正面が捕手方向に向くことがない。それでいながら体重移動のスピードがあり、フォームの躍動感も下級生の頃と比べて明らかにアップした印象を受けた。

 最終的にこの春は2つの完封を含むキャリアハイの4勝をマークし、MVPにも輝いている。試合を作る能力の高さは大学トップクラスで、貴重な左投手ということも考えれば、上位指名の可能性も十分にありそうだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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