週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

ポケモンにハマるクリス・セールの素顔に迫る サイ・ヤング賞左腕が認める「大谷翔平にしかできないこと」

丹羽政善

ブレーブスのエースとして君臨するセール。そんなベテラン左腕もピカチュウの前では… 【Photo by Matthew Grimes Jr./Atlanta Braves/Getty Images】

若いコレクターから憧れられる存在

 クリス・セールが8日(※日時はすべて現地時間)のドジャース戦で先発。負け投手にはなったものの、7回を投げて、5安打、3失点(自責点2)、7奪三振。さすがという内容で、初回、大谷翔平から見逃し三振を奪ったが、外角低めに立て続けに真っ直ぐが決まり、大谷は一度もバットを振ることができなかった。

 2打席目はショートゴロ。適時打を許した3打席目は内角高めを狙った初球がやや低めに。ボール球だったが、大谷が引っ張ると速い打球が一、二塁間を抜けていった。ただ、ミスがなければ大谷は空振りをしていたのではないか。いずれにしても2人の駆け引きには見応えがあった。

 さてそのセール。3日前にはチームメートのディラン・リーと一緒にシアトル郊外のベルビューという街にいた。そこにはポケモンの米国本社があり、見学に訪れていたのである。

シーズンの合間を縫ってポケモンの米国本社を訪れたクリス・セール(右)とディラン・リー(左) 【筆者撮影】

 昨季終盤にはドジャースのアンソニー・バンダ(現ツインズ)、キケ・ヘルナンデス、ジャック・ドライヤー、ウィル・クラインらが同社に足を運んだが、リーとセールのポケモン好きも有名。それは前回の記事でも紹介したが、今回、2月にはリーから「5月の頭にシアトル遠征があるから、よろしく!」と連絡があり、実現した。
 2人は見学中、未裁断のカードが壁一面に飾られている場所で足を止めると、しばし見入った。「イラストのデザイナーはどうやって決まるの?」と広報に尋ねるセール。「名前とか、よく考えつくよなぁ」。腕を組みながら唸った。ピカチュウなどキャラクターのぬいぐるみが飾られている場所では、マウンド上で見せる鋭い視線とは打って変わって目尻を下げている――同じ人なのか、というぐらい。

 そのことを次の日、やはりポケモンカードを集めているマリナーズのジョージ・カービーに報告すると、「えっ、一緒に行きたかったのに」と残念そう。

 その日は彼の登板日だったので声を掛けなかったのだが、彼のロッカーの小物を入れる引き出しには、ポケモンカードがぎっしり。

「ここにあるものは、これからPCAに送ろうと思っているものなんだ」

 メジャーリーガーとの会話でPCAという言葉が出たら普通はカブスのピート・クローアームストロングのこと。しかし、セールやカービーらとの会話ではカードの鑑定、および格付けを行う会社のこと。

「ただ、2月に送ったカードがまだ、戻ってこない。混んでるみたい」

 その通りで、昨今のトレーディングカードブームの影響が、そんなところにも及んでいた。

「セールとも一度、話をしてみたい」

 今回、それは叶わなかったようだが、レアカードを何枚も所有するセールは若いコレクターらにとって憧れの存在。昨年は、ジェーコブ・ミジオロウスキーから声を掛けられた。

「オールスターのときだったかな。彼は裏地にルギアがプリントされたジャケットを着ていて、そこから話が弾んだ」

 ポケモンの米国本社を後にし、ウーバーを待っている間に、セールがそう振り返った。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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