それでも冨安健洋が外せない理由と守田英正or藤田譲瑠チマのセレクトは? 識者による「W杯26人枠予想」【GK・DF・ボランチ編】
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「GKチーム」としての完成度が高い3人
GK予想
竹内:早川友基、大迫敬介、鈴木彩艶
舩木:早川友基、大迫敬介、鈴木彩艶
(※年齢順、以下同)
佐藤 鈴木彩艶(パルマ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、早川友基(鹿島アントラーズ)ですね。
竹内 僕も同じです。ここ最近はずっとこの3人ですからね。
舩木 谷晃生(FC町田ゼルビア)がメンバー入りしたのは25年6月のアジア最終予選が最後ですし。
竹内 彩艶が怪我で不在のときに、大迫も休ませて小久保玲央ブライアン(シント=トロイデンVV)と野澤大志ブランドン(ロイヤル・アントワープ)を入れたこともありましたが、ベストメンバーはやはり彩艶、大迫、早川の3人。W杯を戦うにあたっては、すでに彩艶が森保一監督から絶大な信頼をつかんでいるので、彼をサポートするメンバーとして、ずっと一緒に練習もやってきた大迫、早川が選ばれるのは確実かなと。この2人は人格的にも申し分ありませんしね。
――2022年冬のカタールW杯のGKは川島永嗣、シュミット・ダニエル、権田修一でしたから、3人全員が入れ替わることになりそうですね。
竹内 23年3月の第2次森保ジャパンの初陣では、シュミット(当時シント=トロイデン、現名古屋グランパス)が正GKを務めましたね。
舩木 23年夏の市場で移籍がまとまらなかったシュミットはシント=トロイデンに残留することになりましたが、クラブは移籍を見越して彩艶を獲得していました。その結果、日本代表GKが2人同時に在籍することになり、彩艶がレギュラーに。シュミットはより多くの外国籍選手を起用するためベンチ外になることが増えて、24年1月にヘントへ移籍するまでほとんど試合に出られなかった。その間に代表での序列も逆転してしまいました。
竹内 どちらかと言うとあの時期は、彩艶を正GKとして使うためのランディング期間だったような印象がありますね。
――24年1月のアジアカップでは、彩艶が全試合に先発しました。当時から26年のW杯を見据えて、彼を育てていこうとしていたと?
竹内 彩艶の場合は、年齢的に24年夏のパリ五輪もターゲットでしたからね。A代表の主力でないのであれば、五輪代表の活動に参加すべきという空気の中で、すでに「アジアカップは彩艶でいく」という筋書きができていたように思うんです。
佐藤 当時、反町康治技術委員長(現清水エスパルスGM)が「日本サッカーの宝」と言っていたのを思い出しますね。
竹内 彩艶が第2次森保ジャパンに初招集されたのが、23年の10月シリーズ。まずそのチュニジア戦で起用して、翌月のシリア戦ではW杯予選デビューも飾らせています。
――そして、その流れのままアジアカップを迎えると。
竹内 だから、第2次森保ジャパンでのGK争いは最初から「彩艶をどこで使うか」というロードマップが敷かれていたと言っても過言ではないんです。
舩木 唯一僕が考えたのは、本大会用にPK要員のGKを用意するのかどうか、ということ。今、Jリーグの百年構想リーグではPK戦が導入されていて、谷が止めまくっていますよね。だから、彼をリストに入れるべきか迷ったんです。ただ、同じように早川も大迫もPK戦の経験を積んでいるわけですからね。
佐藤 純粋な実力という意味でも、今のJリーグで早川と大迫の2人は抜けていますよ。それにPK用のGKを連れて行くことは、僕はないと思う。そんな余裕はないし、今の代表チームはPKの練習もめちゃくちゃやっているからね。そんなところに、Jリーグで活躍しているからって、違うGKが入る余地はないですよ。何より、今の3人はGKチームとしての完成度、信頼度が非常に高いですから。森保さんも、この3人の関係性を崩してまで新しい選手を入れることはないと思います。
舩木 なんなら、この3人で4年後だってありえますね、年齢的にも。
――早川が27歳、大迫が26歳、そして彩艶がまだ23歳ですからね。
佐藤 早川は歴代でもトップクラスのGKだと思いますよ。ただ、彩艶が欧州での経験も含めて頭抜けちゃっていますからね。この中で、というか現代表の中で本当のワールドクラスになれるのは彩艶だけだと思います。プレミアリーグのトップ6でもレギュラーを獲れそうなのは。
竹内 現時点で世界最高の選手になれる可能性があるのは、彩艶だけでしょうね。
冨安はCBではなくクローザーとしてリストに
DF予想
竹内:谷口彰悟、板倉滉、渡辺剛、冨安健洋、安藤智哉、伊藤洋輝、瀬古歩夢、鈴木淳之介
舩木:谷口彰悟、板倉滉、渡辺剛、冨安健洋、伊藤洋輝、菅原由勢、鈴木淳之介
舩木 僕は7人選びました。谷口彰悟(シント=トロイデン)、伊藤洋輝(バイエルン)、渡辺剛(フェイエノールト)、板倉滉(アヤックス)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)、冨安健洋(アヤックス)、そして菅原由勢(ブレーメン)ですね。ただ、冨安はちょっとクエスチョンマークが付いて、カッコで町田浩樹(ホッフェンハイム)を入れておきたいところです(笑)
――カッコはダメです(笑)。そのあたりの説明はあとで聞くとして、次に竹内さん、名前を挙げてください。
竹内 僕は狂気のセンターバック8人招集予想です(笑)。谷口、板倉、渡辺、冨安、伊藤洋輝、安藤智哉(ザンクトパウリ)、瀬古歩夢(ル・アーブル)、そして鈴木淳之介です。
――安藤、瀬古という名前が出ましたね。佐藤さんもお願いします。
佐藤 僕も菅原を中盤ではなく右サイドバックとしてこのカテゴリーで選んだので8人。名前を挙げていくと、谷口、板倉、伊藤洋輝、渡辺、瀬古、菅原、鈴木淳之介、そして冨安。ただ、ここに安藤を入れようか、本当に迷いましたね。
竹内 迷いましたね、僕も。
――安藤はまだ3キャップで、昨年11月のガーナ戦以来、代表戦に出ていないですよね?
佐藤 3月の英国遠征に呼びたかったけど、怪我で呼べなかった。
竹内 昨年9月のアメリカ遠征も怪我で不参加だったので、いつも呼びたいのに呼べないなと(笑)。でも190cmの高さと空中戦は大きな武器で、それくらい期待されている証しだと思います。
佐藤 森保さんが安藤を試したいと思うのも、おそらく町田の復帰が想定よりも遅れているからなんだろうと。
舩木 町田が左膝の前十字靭帯を断裂したのは、去年の8月ですよね? 最近ようやくランニングしている映像が流れてきましたけど、ちょっと遅いですね。
竹内 森保さんは長期離脱組の選考にあたって「2〜3試合は見たい」と言っているので、現実的には遅いと思います。
佐藤 だから、安藤を試したかったんだと思うんです。だけどその安藤も、呼ぼうと思ったら怪我で呼べない状況が続いていますよね。
――では、それぞれもう少し詳しく選考のポイントを話してもらいましょう。舩木さんはサイドバック系で菅原を選んで、あとの6人は基本的にセンターバック系ですね。
舩木 センターバックは3バック×2セットという考え方です。このあと、ボランチのところで遠藤航(リバプール)の名前を出しますが、彼はコンディション的にフル稼働が難しいと思うので、ボランチとセンターバックの2つのポジションの控えとして選びました。
――つまり、基本的に3バックの左は鈴木淳之介と伊藤洋輝、真ん中が谷口と板倉、右が渡辺と冨安という2セットですか?
舩木 そうですね。そして、試合の展開次第ですが、遠藤も真ん中で使える。これでセンターバックは7人という計算です。菅原を選んだのは、もちろん右ウイングバックとしてもそうだし、試合中にガラッと戦略を変えるケースも考えて、ですね。
――4バックに変えるということですね。
舩木 4バックの右サイドバックを専門職とする選手が今のチームにはあまりいなくて、選ぶのであれば菅原かなと。そうやって人でシステムをいじれるようにするための選出ですけれど、菅原もこの1年、ブレーメンでずっと試合に出ていて、一時は守備の不安を指摘されていましたが、今はかなりパフォーマンスが上がっていますからね。もともと攻撃に関しては信頼できますし、それにムードメーカーの役割もできる。
――冨安を入れた理由は?
舩木 彼の場合は、怪我から復帰してまだ一度も90分プレーしていない点がネック。センターバックとして90分プレーするところ確認したいのに、アヤックスではボランチや左サイドバックで起用されていて、不安もある。そこで町田をカッコ付きで入れたいなと(苦笑)。ただ、冨安と町田を天秤にかけたときに、町田もサイドバックができますが、怪我の回復が遅れていますからね。だとしたら、すでに実戦復帰している冨安かなと。
ここからプレータイムを稼いでもらって、怪我なく本番を迎えられたら、という考え方です。冨安に関しては、森保さんもすごく目をかけてきた選手ですし、折に触れて「コンディションが良ければ、絶対に必要な選手」と話していますからね。
竹内 僕はそもそも、冨安をセンターバックとして数えていないんです。それは、谷口を中心とする今の3バックの完成度が非常に高くなってきているからで、そこに試合勘の薄い冨安を入れるのではなく、彼は相手の強力なウインガー対策としてのウイングバック、4バックにしたときの両サイドバック、さらにストッパーもできるという完全なるクローザー要員。とはいえ、攻撃力もあるので勝ち越しを狙いたいときのセンターバックのジョーカーとしてもカウントしています。
ただ、いずれにしても「W杯優勝」を本気で狙う上では絶対に必要な選手ですし、少しでもプレーできる可能性があれば、100パーセント呼ぶと思っています。それくらい、森保さんの中での冨安に対する信頼感は、26人のメンバーの中でも超次元のところにあると思います。
――竹内さんはセンターバック8人を選んでいますが、実質的には7人ということですね。
竹内 それでもセンターバックが多いと思われるかもしれませんが、板倉、伊藤洋輝、そして一時は渡辺も負傷離脱していましたし、依然としてこのポジションには怪我のリスクを抱えている選手が多い。今の日本代表のスカッドを考えた場合、センターバックをスクランブルで起用することはほぼ不可能。例えばウイングバックにサイズのある選手がいれば別ですが、さすがに堂安律、伊東純也、中村敬斗、三笘薫あたりを3バックの一角で起用することはありえませんからね。
仮に冨安を外して、もし大会中にセンターバックに怪我人が出たら、その時点でW杯が終わってしまいかねない恐怖がある。だとしたら、思い切ってセンターバックをたくさん呼んで解決するしかないんじゃないかと。
一方で、例えば鈴木淳之介をウイングバックでテストしていますし、瀬古を左サイドバックで起用したこともあります。安藤も4バックのサイドバックで使えそう。つまり、森保ジャパンでは「サイドバック不遇」がずっと言われてきましたけど、結局4バックをやるにしても、3バックの選手をサイドバックで使うようなチーム編成にするんじゃないかと思うんです。それはセンターバックに怪我人が多いチーム事情にもマッチしているし、確かに8人は多いかもしれませんが、ここでリスクヘッジをしながらどう割り振っていくかを考えたら、意外とそれぞれ使えるポジションは多いんじゃないかなと。
――なるほど、それが多くのセンターバックをリストに入れた根拠ですね。
竹内 もう1つ、遠藤航のコンディションにも不安があって、ボランチのバックアッパーをどう作るかってことを考えたときに、僕は瀬古をそこで使ってもいいなと。森保さんはよく「勝つ確率を上げる」という言葉を使いますが、その裏にはとにかく負ける確率を極限まで減らしているという前提があると思っていて、センターバックの人員を余らせることもその考え方にマッチするのではないかと思っています。
――瀬古はクラブでもボランチを務める機会がありましたからね。
竹内 最近はセンターバックですが、前半戦はずっとボランチでしたね。
――そこは板倉ではないんですね。
竹内 板倉は、万全で戻ってくれば普通に3バックのレギュラーだと思っています。左から伊藤洋輝、谷口、板倉の3人がスタメンだと。
佐藤 僕がずっと気になっているのは、4-1で勝ったアウェーのドイツ戦(23年9月)なんです。あの試合のときはまだ4バックで、右が菅原、センターバックが板倉と冨安で、左が伊藤洋輝でした。4バックに関しては、僕はあの試合がベストだったんじゃないかと思っていて、あるとき、森保さんに聞いたんです。「怪我人が出て、あの4バックを再現できなくなったから、3バックにしたんですか?」って。そうしたら森保さん、「僕の理想は広島でやったシリア戦(24年6月/北中米W杯アジア2次予選)後半の4バックです」って言ったんです。
――どういうメンバーでした?
佐藤 右サイドバックが冨安、センターバックが板倉と町田で、左に後半の頭から入った伊藤洋輝。
――つまりセンターバック系を4枚並べたわけですね。
佐藤 ええ。それで森保さんにその意図を尋ねたら、同じ24年1月のアジアカップでイラクにパワープレーでやられた試合(準々決勝/1-1から後半アディショナルタイムに与えたPKで敗北)を持ち出して言ったんです。「ああいったことを繰り返さないためには、サイドで負けない選手が必要だ」と。
――それで、サイドバックを本職とする選手が次第に呼ばれなくなっていったんですね。
佐藤 じゃあ、そうなったときに攻撃力が低下するかと言えば、そんなことはなくて。怪我ということをいったん置いて考えると、伊藤洋輝と冨安の両サイドバックは、逆に日本の武器になる。どちらもボールを持てるし、正確なサイドチェンジのパスが出せて、ライン間のポジションも取れますからね。
森保さんはよく、冨安がアヤックスの左サイドバックとして先発したフェイエノールト戦(3月22日)の話をするじゃないですか。「あの試合で冨安は群を抜く存在だった」と。あれだけ休んでいても、あのレベルのプレーが普通にできる選手だという認識をあらたにしたんでしょうね。さっき竹内くんが言ったように、勝ち切りたい、逃げ切りたいといった状況でスポット的に使えば、必ず力を発揮してくれるという絶対的な信頼感が、冨安に対してはあると思いますよ。だから僕もセンターバックとして、というよりは、相手のストロングポイントを潰すクローザーとしてリストに加えた感じですね。古いけど、昔の「8時半の男」的なノリというか(笑)