週刊MLBレポート2026(毎週木曜日更新)

大谷翔平は本当にボール球を追いかけているのか? それよりも懸念される「別の危険信号」を読み解く

丹羽政善

5月4日(※日時はすべて現地時間)のアストロズ戦、高めのボールにバットを折る大谷翔平 【Photo by Tim Warner/Getty Images】

ロバーツ監督の印象は誤解か

 少し前、米スポーツ専門有線局「ESPN」のポッドキャストで、ジェフ・パサン記者が、デイブ・ロバーツ監督とジョン・シュナイダー監督にインタビューをしていた。

 昨年のワールドシリーズの振り返りがメインテーマだったが、ロバーツ監督が大谷翔平に触れたくだりで、こう口にした。

「翔平に関して発言すると、それがすぐに報じられるので、どうしても慎重になる」

 これは真剣なのか、ボケなのか.........。普段から接している人なら、クスッと笑うところだ。

 そもそも契約前の時点で、勇み足。

 2023年12月のウィンターミーティング。「ドジャースが、大谷翔平の獲得を狙っているようだが.........」という質問に、「先週会ったよ」とあっさり漏らした。

「2〜3時間、一緒に時間を過ごしたかなぁ」

 大谷サイドは、すべてを秘密裏に進めたかった。情報が漏れることに神経を尖らせていた。しかし、ロバーツ監督が交渉の事実を認めてしまった。

 会見が終わってから、ロバーツ監督は手元に置いてあったスマートフォンに目を落とすと、表情を一変させた。多くのテキストメッセージが入っていたよう。何人かの記者がぶら下がって追加質問しようとしたが、広報がそれを遮り、ロバーツ監督を裏へ誘導した。

 その後取材に応じたドジャースのブランドン・ゴームズGMは、“知らぬ存ぜぬ”を貫いた。

「そのことについて話すことは、控えたい」

 後にあの日のことを振り返ったロバーツ監督は、「危うく、台無しにするところだった」と明かした。

 そんなロバーツ監督は、大谷が不振になると、ほぼ決まって、「ボール球に手を出している」と指摘するが、それも結構、ミスリードであることが多い。

 先週末も同様の発言をしているが、ノーヒットだった4月29日から5月4日までの5試合を調べてみると、24打席でボールは56球。そのうち振ったのは9球。つまり、16.1%。これはむしろ、かなり低い。平均で20%を切れば、リーグ全体でもトップ10レベル。大谷のキャリア平均は27.8%なので、それよりも10ポイント以上低い。

 ただ、ボール球を振った9スイングのうち、6スイングが結果球となっており、印象としては、ボール球を振ってアウトになっているという表現が成り立たないわけではない。4日の試合でも、1死満塁の場面でボール球を打って三塁ゴロ。併殺は免れ、打点こそ挙げた大谷だが、カウントは1-0でもあり、ロバーツ監督はダグアウトで思わず、「またか!」と唸ったはずである。

 大谷はむしろ慎重に見極めており、事実としてはそんなに振っていないのだが、結果がすべてでもある。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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