「とてつもない」3ポイント成功率を誇る八村塁 王者サンダーを相手にNBAを震撼させる番狂わせは起こせるか
「3連勝から4連敗」の予感も漂い始めたが
5月1日に行われたウェスタン・カンファレンスのプレーオフ、ロサンゼルス・レイカーズ対ヒューストン・ロケッツのファーストラウンド第6戦。アメリカ国内でこのゲームを中継したESPNの解説者、スタン・バンガンディがそう叫ぶシーンがあった。
この一戦を見たファン・関係者なら、歯に衣を着せぬコメントで知られるバンガンディの言葉に、誰もが同意したことだろう。八村は21得点・6リバウンドの活躍で、レイカーズの勝利(98-78)に貢献。特に7本中5本を成功させた3ポイントシュート(3P)の精度の高さが光った。
「本当に必要な勝利でした。みんなが『史上初めて(3連勝後に4連敗するチーム)になる』と言っていたから、だから今夜で決めようって(チームで)話していました。実際にそれをやり遂げたんです」
試合後、コート上で『スペクトラム・スポーツネット』局からインタビューを受けた背番号28は、喜びを抑えきれなかった。
実際にレイカーズは、シリーズ開始から3連勝しながら、その後ロケッツに2連敗。第6戦を前にして、NBAではまだ一度もない「3連勝からの4連敗でシリーズ敗北」の予感が漂い始めたところだった。
そんな暗雲を振り払うべく、ゲーム最多の28得点を挙げる奮闘を見せたチームの大黒柱レブロン・ジェームズを、八村が大きく助けたことは言うまでもない。
第6戦に限った話ではない。シリーズ全体でもレブロンの平均38.7分に次ぐチーム2位の同38.1分をプレーし、同15.8得点(FG成功率54.3パーセント、3P成功率58.6パーセント)という堂々たる成績を残した。八村のこれほどの働きがなければ、ロケッツを4勝2敗で下してのレイカーズの勝ち上がりはなかったはずだ。
課題を武器に変えたNBAでは稀有な成功例
プレーオフに入ってからも3Pは6試合のすべてで成功率50パーセント以上を記録し、レギュラーシーズンまで含めると、なんと11試合連続で50パーセント超え。ディフェンスがよりハードでタイトになるプレーオフで、シーズン中はリーグ5位の44.3パーセントだった3Pの成功率をさらに高めているのは、まさに「とてつもない」としか言いようがない。
「(ロングジャンパーの精度の良さは)このチームだからですよ。ルカ(・ドンチッチ)は(怪我で)今いないけど、オースティン(・リーブス)が戻ってきて、レブロンもいて、あの2人にディフェンスの意識が集中する。だから自分はフリーで打てるんです。簡単なショットを練習してきた通りに打っているだけです」
テレビのインタビューではいつものようにそう謙遜していたが、もうここまできたら、八村のシュート力が本物であることに疑問の余地はない。
NBA入り後も八村は、「僕の持ち味はミドルレンジのプレーだから」と何度も繰り返し話してきた。実際にカレッジからNBAキャリアの序盤に至るまで、正確無比の中間距離ジャンパーが主武器だったのは確かだろう。
ただ、近年は継続的に3Pの精度をアピールし、プレーオフでもステップアップできることを示してきた。だとすれば、もう3Pこそが彼の最強の武器だと認識されるべきだ。
たゆまぬ努力を続けてきた八村は、28歳にしてリーグを代表する3Pシューターに成長を遂げた。もともと“課題”と考えられていた部分が“メインの攻撃パターン”にまでなることはNBAでは珍しく、稀有な成功例として捉えられていくのではないか。