どうなる?2026年MLB開幕1カ月診断

大谷翔平は盤石、村上宗隆は躍動、岡本、今井の今後の展望は? 明暗分かれた日本人MLBプレーヤー開幕1カ月の現在地

村田洋輔

日本勢で最高のスタートを切った村上宗隆、現地ファンの注目度も高まっている 【Photo by Michael Hirschuber/Getty Images】

 開幕から1カ月、MLBで戦う日本人選手たちの現在地が見えてきた。二刀流で圧倒的な存在感を放つ大谷翔平、デビューから本塁打を量産する村上宗隆、適応に苦しみながらも兆しを見せる岡本和真、そして試練のスタートとなった今井達也。明暗が分かれた新戦力と既存組の評価を、データと現地の視点から読み解く。
※文中の成績はすべて日本時間4月27日の全試合終了時点

村上宗隆、疑念を一掃する衝撃のスタート

 新たに海を渡ってMLBに活躍の場を移した3選手の開幕1カ月は、ハッキリと明暗が分かれる結果となった。空振り率と三振率の高さ、さらに守備力の低さなどが懸念され、2年3400万ドル(約54億円)の契約に落ち着いた村上宗隆(ホワイトソックス)はデビュー戦から3試合連続本塁打という最高のスタートを切り、日本時間4月18~23日には日本人2人目となる5試合連続本塁打を達成。同25日のナショナルズ戦でも一発を放ち、今季11本塁打はアーロン・ジャッジ(ヤンキース)やカイル・シュワバー(フィリーズ)を上回り、ヨルダン・アルバレス(アストロズ)と並んで両リーグ1位タイの数字となっている。

村上宗隆の打球速度の速さと選球眼の良さがここまで好調の要因か 【Photo by Christian Petersen/Getty Images】

 データを詳しく見てみると、確かに空振り率(41.3%)や三振率(33.1%)はMLB全体でもワーストレベル。しかし、それ以上に打球速度の速さやハードヒットの多さ、さらには選球眼の良さが数字にハッキリと表れており、MLB.comも「打撃スタイルがシュワバーによく似ている」と特集を組んで報じるなど、契約時の低評価が嘘のように注目度が高まっている。今後の課題はもちろん、空振りや三振を減らして打撃の確実性を上げていくこと。特に左腕のスライダーやスイーパーの攻略がポイントとなるが、現代のMLBでは強い打球をコンスタントに放ち、ストライク/ボールをしっかりと見極め、高いOPSを残すことができていれば、三振の多さはそれほど問題視されない傾向にある。「三振を恐れずに強い打球を打つ」という現在のスタイルを貫いていけば、おのずと結果はついてくるはず。日本人選手の1年目の最多本塁打記録(=2018年の大谷翔平による22本塁打)は村上にとって、単なる通過点ということになりそうだ。

チームメイトから手荒い祝福を受けるなど、すっかりチームに溶け込んだ岡本和真 【Richard Lautens/Toronto Star via Getty Images】

 村上と比較して「打撃の完成度が高く、即戦力として期待できる」と評価され、ア・リーグ王者のブルージェイズと4年6000万ドル(約96億円)で契約した岡本和真は開幕6試合連続安打と好スタートを切ったが、やや苦戦している印象だ。村上ほどではないものの、空振り率(33.8%)や三振率(32.4%)が高く、MLBレベルの投手に苦戦している様子がうかがえる。とはいえ、日本時間4月19日以降の8試合で4度のマルチ安打を記録し、3本塁打を放つなど、打撃の状態は上向き。一時は.553まで落ち込んだOPSも.721まで回復しており、大健闘している三塁の守備と合わせて考えれば、開幕1カ月の働きには十分に及第点を与えられる。

 主砲ウラジーミル・ゲレロJr.と良好な関係を築くなど、独特なキャラのウケもよく、球団の公式SNSが連日、日本語で岡本の活躍を伝えているように、チームにも上手く溶け込んでいる。細かくデータを見ていくと、フォーシームにはしっかり対応できている一方で、シンカー(ツーシーム)にはかなり苦戦しており、変化球に対しても全体的に手こずっているため、課題の空振り率や三振率を改善していくためにも「フォーシーム以外の球種」をいかに攻略していくかがカギになる。チーム全体の調子がなかなか上がらない(ここまで12勝15敗)中で、主砲ゲレロJr.にマークが集中するのを避けるためにも、早めにアジャストし、今以上の存在感を示していきたいところだ。

マリナーズ戦の初回、降板を告げられ悔しさをにじませる今井達也 【Photo by Jack Compton/Getty Images】

 大活躍の村上、及第点の岡本とは対照的に、3年5400万ドル(約86億円)でアストロズに加入した今井達也はスタートで大きくつまずいた。先発4番手として開幕を迎え、日本時間3月30日のエンゼルス戦でMLBデビューを果たしたが、4つの四球を与えるなど制球が定まらず、3回途中4失点で降板。2戦目はアスレチックスを相手に6回途中無失点の好投で初勝利を挙げたものの、3戦目はマリナーズを相手にわずか1アウトしか取れず、5四死球3失点の大乱調だった。その後、「右腕の疲労」を理由に負傷者リスト入りして開幕早々に戦線離脱。防御率7.27という苦戦ぶりで、「野球もそうですし、野球以外のところでも。自分が思ったよりも苦労している部分があるなと感じています」と弱音を漏らす場面もあった。

 通常のグローブ方向ではなく、利き腕方向に変化する「逆スライダー」が大きな話題となり、MLB.comで特集が組まれたほどだったが、マウンドや公式球など新たな環境へのアジャストに苦戦しているのが現状。1試合あたり100球前後というMLB式の球数制限がある中で、西武時代とは異なり、いかに球数を抑えながら長いイニングを投げるかという点も今後の大きな課題となっていくだろう。負傷者リスト入りしているが、すでにブルペンでの投球練習を済ませ、次はマイナーでのリハビリ登板に臨む予定。投壊に苦しむチームが浮上するためには、今井が本来のパフォーマンスを発揮することが必要不可欠であり、一刻も早い戦列復帰、そしてMLBへのアジャストが期待される。

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著者プロフィール

神戸出身。2001年、イチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年からMLBライターとしての活動を開始し、2017年から日本語公式サイト『MLB.jp』編集長。2021年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビュー。ジャンカルロ・スタントンと同じ日に生まれたことが密かな自慢。

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