佐々木麟太郎ら若きアスリートはなぜアメリカの大学に進むのか? 巨大ビジネスと化すNCAAディビジョン1の実態
全米規模の知名度を誇るパワーカンファレンス
さらに今秋のNPBドラフトの目玉とされていた右腕の佐藤幻瑛が先頃、仙台大を中退してペンシルベニア州立大への入学を発表するなど、MLBでのプレーを視野に入れてアメリカの大学に進む選手が増えてきている。
またバスケットボールでは、渡邊雄太(現千葉ジェッツ)がジョージワシントン大から、八村塁(現レイカーズ)がゴンザガ大からNBA入りを実現。彼らに続けとばかりに、今年1月に行われた第1回Bリーグドラフトでサンロッカーズ渋谷からトップ指名された山﨑一渉も、ノーザンコロラド大で研鑽を積んだ。
これらの大学はすべてNCAAのディビジョン1(D1)校。米大学スポーツの中心であるNCAA(National Collegiate Athletic Association/全米大学体育協会)のD1については、日本ではあまり知られていないが、このシステムについて掘り下げていくと、米大学スポーツのスケールの大きさ、そしてプロへの登竜門としていかに機能しているかがはっきりと見えてくるはずだ。
NCAAのD1は米大学スポーツの最上位カテゴリーだ。ディビジョンはD1~D3まであるが、競技レベル、資金規模、メディア露出のいずれにおいてもD1がトップクラス。特にバスケットボール、野球、アメリカンフットボール、サッカーなどではD1で活躍した多くの選手がプロに進んでおり、そのための道筋が出来上がっていると言ってもいい。
D1には約350校前後が所属し、それらの大学は約30以上のカンファレンス(リーグ)に分かれる。カンファレンスごとに競技レベルや資金力の差があり、いわゆる「パワーカンファレンス(強豪リーグ)」とそれ以外では構造的な差がある。
ビッグ10カンファレンス、ACC(アトランティックコースト・カンファレンス)、SEC(サウスイースタン・カンファレンス)などのパワーカンファレンスは全米規模の知名度を誇り、そこでプレーするのが幼少期からの目標という少年、少女もアメリカには少なくない。
シーズン中はリーグ戦を行い、これらのカンファレンス内で上位を争う。競技ごとにプレーオフ(全国トーナメント)が存在し、そこに出場し、勝ち進むことが大目標だ。
全米を熱狂させる“マーチマッドネス”
これはアメリカで最も注目度の高いスポーツイベントの1つで、かつてはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)がアメリカで浸透しない理由として、“マーチマッドネス”と開催時期が被ることが挙げられていたほどだ。
準決勝、決勝はスタジアム級の会場で開催されるほどの集客力を誇り、日本の甲子園大会が比較対象に挙げられることも。期間中はとにかくアメリカ中が大騒ぎになる大人気イベントだ。
一方、野球は2〜6月にシーズンが行われる。レギュラーシーズンからカンファレンス・トーナメントへと進み、全米ベスト8を争うスーパーリージョナルを経て、毎年6月、ネブラスカ州オマハで開催されるカレッジ・ワールドシリーズへの出場校が決まる。
「目標はとにかくオマハに行くこと。まだ日本人選手は行ったことがないですし、大学としても目指しているところなので、すごく楽しみにしています」
スタンフォード大に進んで以降の佐々木はそう語り、8チームだけが出場できるカレッジ・ワールドシリーズ進出を目標として掲げ続けている。
この大会は、バスケの“マーチマッドネス”や、アメリカンフットボールの“ボウル・ゲーム”(プレーオフ)ほどの注目度はないが、開催時期がMLBドラフトの直前ということもあって、プロ入り前のショウケースとしての趣が強い。