長崎ヴェルカが作りつつある日本バスケの新基準 創設5季目で現在B1首位
4月19日の茨城ロボッツ戦は、相手が65%という驚異的な確率で3ポイント(3P)シュートを決めるなか、最大17点のビハインドとなる厳しい展開だった。しかし第4クォーターに追いつき、オーバータイム(延長戦)で突き放して109-103で制した。18日(90◯69)に続く連勝でシリーズを終えている。
長崎は現在43勝12敗と西地区、B1全体の首位。2021-22シーズンのB3参入から5シーズン目、B1昇格3シーズン目の新興クラブが、日本バスケの頂点に急接近している。
シーズン終盤に直面した壁
そんなチームにとって、19日の逆転勝利は一つ壁を乗り越えた展開だった。モーディ・マオールヘッドコーチ(HC)はこう語っている。
「今は自分たちのメンタルのところで、新たなチャレンジをしています。私たちはプレーオフ(=チャンピオンシップ)が決まっている状況のプレーにまだ慣れていません。プレーオフがすぐそこにある中で、しっかり一つずつプレーすることは難しいし、だからこそチャレンジングになります」
馬場雄大もこう口にしていた。
「茨城さんが僕たちにアジャストしてきて、すごく苦しい戦いでしたが、(長崎は)途中で守り方も変えたりして、すごくいい内容になりました。広島さんに負けたとき、他のチームを相手に試合を落としたときの状態で今の試合を迎えていたら、多分負けていたと思います。だけどこの数週間、自分たちの中で良くなかったことを見つめ直して、ミーティングもして、そこが結果に表れました」
レギュラーシーズンの途中経過を見れば長崎は「ベストチーム」と言い得る試合をしてきた。とはいえCSを過去に何度も戦ったメンバーが残る宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスのような経験値はまだない。彼らはまさに今、現在進行形で「ポストシーズンをどう迎えるか、そしてどう戦うか」というチャレンジを始めたところだ。
「ヴェルカ・スタイル」とは?
念のため説明するとヴェルカとJリーグのV・ファーレン長崎は、ともに通販大手のジャパネットホールディングスがオーナーだ。彼らは2024年秋にアリーナ、スタジアム、ホテル、商業施設、オフィスなどが集結した「長崎スタジアムシティ」も開業させている。この二つのプロクラブは街の魅力を上げる、価値を高める役割も担っている。
だからこそ彼らは当初から「楽しめる」スタイルにこだわってきた。今季はハードでアグレッシブ、スピーディーな「ヴェルカ・スタイル」が鮮やかに花開いている。
ヴェルカの強みは明快だ。1試合あたりの平均得点(91.4得点)、3Pシュートの成功率(37.1%)もB1最高。守備の指標を見ると1試合平均のスティール(9.6個)がやはりB1最多だ。逆にリバウンドは彼らの弱みなのだが、走り勝てる、決め切れるところが強みになっている。
ヴェルカの試合はとにかくペースが早く、攻守とも盛り上がる場面が多い。プロバスケが5年前まで無かった土地で、この競技にそれほど馴染みのないお客でもきっと魅了されるプレーだ。
編成を見るとオールラウンドな選手が揃っている。馬場雄大は196センチとそれなりに大柄だが、170センチ台のガードとマッチアップできる機動力を持ち、おそらくBリーグのベストディフェンダーだ。速攻からのドライブ、3Pシュートも大きな強みで、プレーメイクの能力もある。
ジャレル・ブラントリーはパワーフォワード(PF)だが、やはりスピードやドライブが強みで、アタックの先頭に立ってウイングのようなプレーをする。この二人は昨季もこのチームでプレーしていた。