「4回転アクセルにも、あまり恐怖心がない」 中田璃士、攻める気持ちでシニアデビューへ【単独インタビュー前編】

沢田聡子

世界ジュニア選手権で味わった緊張感

2025-26シーズンの世界ジュニア選手権では、日本男子初の連覇を果たした。ソ・ミンギュ(左)とはいいライバル関係 【写真は共同】

――連覇を果たした今季の世界ジュニア選手権では、ショートの前に不安すぎて泣いてしまったそうですね。今まで試合の前に、そういう経験はありましたか?

 泣くほど緊張する試合がなかったので、本当に世界ジュニアが初めてでした。(昨年12月のジュニアグランプリ)ファイナルで失敗(ショート首位で迎えたフリーで逆転を許し総合2位)しているので、同じ失敗ができないという思いはやっぱり強かったですね。

――ファイナルの時は、まだ怪我の影響が残っていたのではないですか?

 ちょっと残ってはいました。でも、準備する期間は1カ月あって充分だったので、やはりもったいなかったです。

――ソ・ミンギュ選手(韓国/今季はジュニアGPファイナル優勝、世界ジュニア選手権2位)とはいいライバル関係になっていますね。

 ミンギュ選手には(ジュニアの)1年目からずっと勝ちたいと思っていました。彼はスケーティングや音にはめる技術、スピンの丁寧さがすごいです。シニアと同じくらい上手な選手で、最近は4回転も跳び始めています。今までは自分が4回転は跳べる一方でスケーティングがあまりよくなかったので、対照的だったと思います。でも彼がスケーティングなどで点を稼ぐから、自分もそっちの面を強くして勝とう、という気持ちにもなりました。

――シニアのGPファイナルでは、イリア・マリニン選手(アメリカ)が圧倒的なフリーを滑りましたが、ご覧になっていましたか?

 はい、上(観客席)で見ていました。来シーズン戦っていく中で「今のままじゃ駄目だ」と見た瞬間に思いました。

――マリニン選手とは、アイスショーなどでお話ししたことはありますか?

 何回もあります。4回転フリップについて「力を入れすぎ」というアドバイスをもらいました。「力が入りすぎちゃうから、もっと抜く」みたいなことを言われましたね。

――ミラノ・コルティナ五輪の男子ショート、フリーを現地でご覧になったそうですね。フリーでのマリニン選手の崩れ方には、五輪の怖さを感じました。

 やはり、見ている側もつらかったです。「何があるかわからない」というのが、一番の感想ですね。マリニン選手は2年前ぐらいから「五輪では絶対1位になる」と言われていたので、「こんなこともあるんだ」という感情になりました。

――シニアデビューシーズンは、どんなシーズンになりそうですか?

 今、状態がすごくいいんです。もう明日からシーズンに入ってもいけるくらい、本当にいい。GPシリーズに出て優勝したいですし、GPファイナルにもいきたい。全日本選手権で優勝して、四大陸選手権にも出て優勝して、世界選手権に出てメダルをとるのが1年目の目標です。

――日本男子はレベルが高いですが、その中でも勝っていけるイメージはありますか?

 やっぱりここで勝たないと、世界を見たときに勝てないので、しっかりここで勝って、4年後はイリア選手に勝てるように頑張ります。

<後編(4月19日掲載予定)に続く>

中田璃士(なかた・りお)

【スポーツナビ】

2008年9月8日生まれ。イギリス・カーディフ出身。プリンスアイスワールドのチームメンバーとして活躍したのち現在はコーチを務める父・誠人氏と、イギリス人の母を持つ。2019~21年、全日本ノービス選手権3連覇。2024~25年、全日本ジュニア選手権・世界ジュニア選手権連覇。2024年全日本選手権2位。千葉県船橋市に拠点を置くMFアカデミーで練習している。中京大中京高・通信制課程3年。TOKIOインカラミ所属。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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