「4回転アクセルにも、あまり恐怖心がない」 中田璃士、攻める気持ちでシニアデビューへ【単独インタビュー前編】

沢田聡子

中田璃士がシニアデビューシーズンを前に、高い志を語った 【スポーツナビ】

 日本男子フィギュアの未来を担う逸材・中田璃士が、シニアデビューシーズンを迎える。2025-26シーズンの世界ジュニア選手権ではショートで世界歴代最高得点をマークし、日本男子初となる連覇を果たした。全日本選手権でも2024年に銀メダルを獲得しており、既に表彰台に上がった経験を持つ。輝きを放つ新星に、シニアデビューへの意気込みを聞いた。(取材日:2026年4月9日)

怪我でジャンプが跳べない時間を有効活用

――今季は怪我(左足甲の疲労骨折)があった中でも、世界ジュニア選手権連覇という最高の結果でジュニアを締めくくることができました。どのように振り返られますか。

 疲労骨折したのはちょうど試合がない期間だったので、体のトレーニングなどもできました。怪我はよくないことですが、それがあったからこそ、いろいろ勉強できたというのはあります。

――特にどんなことを勉強できたのでしょうか?

 他の選手が跳ぶ、効率の良いジャンプです。自分に足りないものを人と比較した上で、トレーニングをしていました。ジャンプは効率よくコンパクトに跳ぶことを意識して練習しています。怪我をする前には(4回転)フリップ、ルッツは跳べなかったのですが、意識してトレーニングしたらよくなりました。

――ルッツは以前、苦手と言っていましたね。

 ルッツは、元々苦手です。でも最近はたくさん練習しているので、4回転も跳べるようになりました。やっぱり、本当にトレーニングが生きていると思います。

――ルッツの跳び方で、参考にした選手はいますか?

 羽生結弦選手はプレローテーション(跳び上がる前の回転)を使わないので、自分にとって一番参考になりました。今までの課題は、ジャンプの軸が太くなってしまうことでした。それをできるだけ細くして、効率よく跳ぶことを意識して練習していました。

――初めて4回転を降りた時もイメージができていたそうですが、イメージを体で再現するのは簡単なことなのでしょうか?

 自分にとってジャンプは、イメージができてから跳べるものです。イメージができない時は、やっぱり本当に降りられないですし。(4回転)サルコウやトウループ、ループはイメージできましたけど、フリップやルッツを降りている自分はあまりイメージできなかったので難しかったです。

 自分はイメージの仕方が、けっこう変わっていて……スケートリンクでジャンプを跳んでいる自分を、リンクサイドから見ている自分がいるという感じです。(4回転)ループも初めは難しかったのですが、ジュニア1年目、中学2年生の時にちょうど腰の疲労骨折をしていたときに、ループのイメージをしていました。

――怪我でジャンプが練習できない時の時間を、うまく使っているのですね。

 はい。時間を無駄にできないので。左足の怪我は、今は全然大丈夫です。

シニアデビューシーズンから「勝ちにいく」

シニアデビューのシーズンも攻めた構成で臨む予定だ 【Photo by Tang Xinyu/VCG via Getty Images】

――今、4回転アクセルの練習はしていますか?

 はい、毎日しています。4回転ルッツは3月に降りたのですが、4回転アクセルもその前からちょっと練習していました。ハーネスなどの器具は使っていなくて、普通に練習で跳んでいます。まだ降りてはいないですが、今年は跳べると思います。もう軸作りもうまくでき始めて、「あとちょっと」という感じですね。今は4回転を普通に練習しているので、4回転半となると体幹をもうちょっと締めないといけないのですが、そこに慣れてくれば降りられると思います。

――4回転アクセルの場合、回転を締め切るのは怖いですか?

 トウループ・サルコウ・ループ・フリップ・ルッツと5種類の4回転をたくさんやっていて、もう体が覚えているので、「あと半回転」という意識を持ったら簡単だと思います。僕は4回転アクセルに対しても、あまり恐怖心がないので。正直、成功も見えてきたと思います。

――今年2月の国民スポーツ大会で成功させた4回転トウループ-トリプルアクセルは、今後も構成に入れる予定ですか?

 はい、来シーズンからセカンドアクセル(連続ジャンプの2つ目に跳ぶトリプルアクセル)を入れる予定です。最近、トリプルアクセルをダブルアクセルと同じくらいの感覚で跳べるようになってきたので、あまり難しいとは感じないです。

――来季からルールが変わって、フリーのジャンプは現状の7本から1本少ない6本になりますが、どういう構成を考えていますか?

 今のところ、4回転フリップ、4回転ループ、4回転サルコウ、4回転トウループ-3回転アクセル、4回転トウループ、トリプルアクセル-オイラー-3回転フリップ-3回転トウループ(来季からオイラーは表外ジャンプとなる)というような構成でいくつもりではいます。

――シニアデビューシーズンに、演技をまとめていこうという考えはないのですね。

 ないですね。この構成をやってジャンプを降りれば、やっぱり点数も出るようになるので。降りた時に一番点数が出るのは、この構成です。これでやるしか、勝つ方法がないと考えています。

――攻めた方が、試合で結果が出るのでしょうか?

 そういう面もありますが、今季の世界ジュニアは、正直演技をまとめに入りました。その時は、しっかりまとめられたので勝てた。やっぱり、攻めないといけない時は攻めたら勝てると思いますし、守らなくてはいけないときは守らないと勝てないと思います。

――来季はシニアデビューだからこそ、攻めていこうという感じでしょうか?

 いや、もう自分は勝ちにいくので。守りに入ったら表彰台に乗るのは無理なので、攻めていきます。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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