次代を担うルーキーたちの現在地と未来

選手権覇者のクロッサーにクラブユース怪物FW…大学サッカーからプロを目指す07年世代の逸材10選

土屋雅史

24年度の選手権を制した前橋育英の右サイドバック・瀧口は東洋大に進学。関東大学リーグ1部でも自慢のクロスがうなりを上げるか 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 三笘薫(川崎ユース→筑波大→川崎F)や上田綺世(鹿島学園→法政大→鹿島)らを成功例に、近年は高校卒業後に大学で研鑽を積み、即戦力としてJクラブ入りする流れが加速している。高体連からはもちろん、クラブユースから大学に進学する者も少なくなく、プロへのステップボードとして大学サッカーの価値が高まっている。ここでは今春大学に進学した「2007年生まれ世代」(08年早生まれも含む)の中から、将来Jリーガーになることが期待される10人の逸材をピックアップする。

瀧口 眞大(DF/前橋育英高→東洋大)

 もともとはボランチを主戦場にしていたが、高校2年で右サイドバックにコンバートされて、一気に才能が開花。選手権優勝を主力として味わうと、昨季は高円宮杯U-18プレミアリーグ(以下、プレミアリーグ)でも屈指のサイドバックとして、1年を通じて強い存在感を発揮し続けた。

 最大の特徴はスペシャルな精度を誇るクロスで、速いボールと遅いボール、さらにコースも自在に蹴り分けられる。とりわけ相手のディフェンスラインとGKの間に蹴り込むクロスは、すぐにでもJリーグで通用するような代物。年代別代表に未選出なのが意外なほどの、07年世代を代表し得るタレントだ。

廣瀬 煌(DF/流通経済大柏高→日本大)

センターバックとしては小柄ながら、1対1に圧倒的な強さを発揮。国立を沸かせた流経大柏の守備リーダーも大学進学を選んだ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 中学時代はドリブルを武器とするボランチで、流通経済大柏でも2年時はサイドバックでプレーしていたものの、3年時からセンターバックで起用されると、その圧倒的な対人能力で堅守を誇るチームの絶対的なディフェンスリーダーへと成長した。

 昨夏のインターハイで、全国レベルのアタッカーたちと互角以上に渡り合ったことでさらなる自信をまとい、後半戦のプレミアリーグEASTでも1対1で負けるシーンはほぼ皆無だった。175センチというサイズの不足を感じさせないプレー強度に加え、目の前の相手に負けたくないという強烈なメンタルも頼もしい。

平野 稜太(GK/大分トリニータU-18→関西大)

 正確なロングフィードなど足元の技術に秀で、ビルドアップにも積極的に参加できる現代型の守護神だ。中学時代は愛知の刈谷JYでプレーし、高校から大分トリニータU-18に加わると、3年間で大きく成長。昨年のU-17ワールドカップ(W杯)に臨むU-17日本代表に選出されたが、本大会での出場は叶わなかった。

 参考にしているGKはヤン・ゾマー(インテル)やマヌエル・ノイアー(バイエルン)で、憧れの存在は大分アカデミーの大先輩でもある西川周作(浦和)。関西学生リーグでは早くも第2節でデビューを飾り、完封勝利に貢献している。

川本 大善(MF/柏レイソルU-18→明治大)

昨年のU-17W杯では3試合に先発し、ベスト8進出に貢献したファイターは、多くのJリーガーを輩出する明治大でさらなる進化を遂げる 【Photo by Noushad Thekkayil/NurPhoto via Getty Images】

 柏レイソルU-18では、2年時までほとんどAチームでの出場機会を得られず。だが、「会場の見ている人たち全員を引き込んでいくのが、自分の役割や使命だと思っている」という強靭なメンタリティで、昨季は中盤の絶対軸としてプレミアリーグEASTでも躍動。6月に初めてU-17日本代表に選出されると、U-17W杯のピッチに立つまでに驚異的な成長を遂げた。

 最大の持ち味は、最後の最後まで粘り強く体を張れるボール奪取力と、あふれるパッションで周囲を巻き込む統率力。好プレーの後に張り上げる雄叫びにも、是非注目してほしい。

藤本 陸玖(MF/ヴィッセル神戸U-18→関西学院大)

 濱崎健斗や渡辺隼斗(ともに神戸)をはじめとして、U-15年代から日本一を経験してきた“ヴィッセルアカデミー黄金世代”と称される07年世代のコントロールタワー。昨季は念願のプレミアリーグWEST制覇に、絶対的な中心選手として貢献してみせた。

 中盤センターに位置しながら攻守を司るバランス感覚も目を引くが、右足でも左足でも正確にプレースキックを蹴り分けられる、きわめて精度の高いキックは、タレントぞろいだった昨季のチームでも群を抜くレベル。進学した関西学院大ではすでにリーグ戦でスタメンに抜擢されており、首脳陣の期待度も非常に高そうだ。

東口 藍太郎(MF/サガン鳥栖U-18→鹿屋体育大)

昨年は自身初となる年代別代表に選出され、U-18代表として欧州遠征も経験。レベルアップを遂げた小さなボランチが、大学でも戦い続ける 【(c)J.LEAGUE】

 157センチという小柄な体に、ハードワークと闘争心を詰め込んだファイターは、昨季のサガン鳥栖U-18でダブルキャプテンの一角を担い、プレミアリーグWESTで終盤まで優勝争いを繰り広げたチームを、強烈なリーダーシップで牽引し続けた。

 以前からピッチ上のどこにでも顔を出す運動量と、相手ごと刈り取るようなボール奪取力は際立っていたが、オン・ザ・ボール時のバリエーションが増えたことで、攻撃面でも着実に進化。昨年5月にはU-18日本代表にも初招集されたように、攻守両面で違いを生み出せるボランチとして評価を高めている。

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著者プロフィール

1979年8月18日生まれ、群馬県出身。高崎高3年時にインターハイでベスト8に入り、大会優秀選手に選出される。2003年に株式会社ジェイ・スポーツへ入社。サッカー情報番組『Foot!』やJリーグ中継のディレクター、プロデューサーを務めた。21年にジェイ・スポーツを退社し、フリーに。現在もJリーグや高校サッカーを中心に、精力的に取材活動を続けている。近著に『高校サッカー 新時代を戦う監督たち』(東洋館出版社)がある。

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