週刊ドラフトレポート2026

「投手専念」で大きく成長! 圧倒的出力誇る158キロ右腕、“二刀流”で甲子園沸かせたあの選手

西尾典文

東都大学で注目を集める川尻啓人(左)と仲井慎(右) 【撮影:西尾典文】

 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 今回は東都大学で高い注目を集める二人の本格派右腕を紹介します。

「衝撃の158キロ!出力の高さは大学球界でもナンバーワン!」

欠点らしい欠点がない。目玉の一人となる可能性もある川尻啓人 【撮影:西尾典文】

川尻啓人(亜細亜大 4年 投手 189cm/93kg 右投/左打)

【将来像】達孝太(日本ハム)
長身と体格を生かしたパワーピッチングは達とイメージが近い
【指名オススメ球団】オリックス
大型投手の育成が上手く、停滞気味の山下舜平大に刺激を与える意味でも狙いたい
【現時点のドラフト評価】★★★★☆
1位指名の可能性あり

 今年の大学生投手は以前のコラムで取り上げた鈴木泰成(青山学院大)が目玉と見られるが、スケールの大きさという意味では鈴木を上回るのが亜細亜大の川尻啓人だ。富山県の出身で、高岡商では3年夏に甲子園に出場。背番号は3ながら初戦の敦賀気比戦で先発を任されたが6回を投げて7失点で負け投手となり、当時のストレートは130キロ台中盤が大半でプロのスカウトから注目されるような選手ではなかった。亜細亜大に進学後も層の厚い投手陣ということもあって短いイニングでの登板が大半で、3年秋までにリーグ戦では未勝利に終わっている。

 それでもプロのスカウト陣からの注目度が高いのは、圧倒的な出力の高さがあるからだ。大学での投球を初めて見たのは2年春の中央大戦だったが、この試合で川尻は最速153キロをマーク。高校時代とはフォームもスピードもまさに別人のようになっており、試合終了時点では高岡商の3年夏に甲子園で投げていた川尻とは全く結びついていなかった。ここまで高校と大学でイメージが変わる投手はなかなかいるものではない。

 その後は故障などもあって、なかなか結果を残すことができていなかったが、今年春の日本体育大とのオープン戦では先発を任されて4回を投げて2失点(自責点1)、5奪三振と好投。春先の寒い時期でありながらストレートは常時150キロを超え、与えた四死球も0とスピードはもちろん制球面でも大きな成長が見られた。

 そして圧倒的なインパクトを残したのが4月8日の青山学院大との試合だった。6点をリードされた8回からマウンドに上がると、立ち上がりから150キロ台のストレートを連発し、最速は筆者のスピードガンで158キロをマークしたのだ。ちなみに計測できたストレートの平均球速は154.7キロであり、1イニングのみの登板ということを考えてもプロでも上位の数字であることは間違いない。ストレートがただ速いだけでなく、フォームについてもゆったりとしたモーションでバランス良く腕が振れており、欠点らしい欠点がないというのも長所だ。

 この青山学院大戦では不運な当たりもあって3本のヒットを打たれて1点を失ったが、続く14日の東洋大戦では1回を三者凡退、1奪三振としっかり結果も残した。140キロ台中盤をマークするスプリットも決め球として十分なブレーキがあり、制球に苦しむことがなかったのも大きな収穫である。

 亜細亜大には他にも力のある投手が多いことから、この春は抑えで起用するプランだったというが、状態が上がっていない投手がいることもあって、今後は先発で起用する可能性もあるという。長いイニングでもしっかり結果を残すことができれば、一躍目玉の一人となる可能性もありそうだ。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント