現地記者の日本人選手ラ・リーガ奮戦記(月2回更新)

わずか36分の試運転で大一番に挑む久保建英 国王杯決勝で「より良い感触」は戻っているか?

山本美智子

前回優勝時はサポーターと喜びを分かち合えず

ソシエダが最後にスペイン国王杯を制したのは19-20シーズン。決勝は年をまたいでの開催、さらには無観客試合という異例ずくめだった 【写真:ロイター/アフロ】

 では、A・マドリーとソシエダのどちらが優勝トロフィーを掲げるのか。

 現時点ではA・マドリーの優位を予想する声が圧倒的だ。これまで国王杯の決勝に19回進出したA・マドリーは、バルセロナ(32回)、アスレティック・ビルバオ(24回)、レアル・マドリー(20回)に次ぐ10回の優勝経験を持っている。

 一方のソシエダは過去8回決勝に進出して、優勝は3回。最後にタイトルを獲得したのは19-20シーズンで、とりわけ敵地サンティアゴ・ベルナウでの準々決勝でR・マドリーを4-3で下した激闘は、いまだ記憶に新しい。

 ただ、Covid-19(新型コロナウイルス)の世界的流行によって、アスレティックとの決勝が行われたのは、準決勝から約1年後の21年4月。しかも無観客試合だったため、ソシエダは1-0で勝利してチャンピオンになったものの、歓喜の瞬間をサポーターと分かち合うことができなかった。

 久保がソシエダに移籍してきたのは、その翌年の22年だ。彼にとっては今回の国王杯が、ソシエダの選手として、さらにはプロキャリアにおける初めてのファイナルとなる。

「勝って、みんなと一緒に喜べることを願っている」

 久保の願いは、前回の優勝を思う存分に祝うことができなかった、すべてのソシエダ・サポーターの願いでもあるのだ。

A・マドリーにはCL準々決勝のダメージが

4月18日の決勝でA・マドリー優位の下馬評を覆せるか。今季第18節の対戦で同点弾をアシストするなど、久保にとっては相性のいい相手だ 【写真は共同】

 久保のみならず、マタラッツォ監督にとってもこの試合に勝てば、監督として初めてのタイトルとなる。

 敵将ディエゴ・シメオネと比較すれば、大舞台での経験値で見劣りするのは確かだ。しかしA・マドリーは今回、バルサとのチャンピオンズリーグ準々決勝第2レグ(4月14日/1-2で敗れたものの、2戦合計3-2で準決勝に進出)を終えてから、48時間で心身ともに回復し、国王杯決勝に臨まなければならない。

 バルサを倒しての4強入りは大きな自信となったに違いないが、それでもA・マドリーには、まさしく死闘と言えた準々決勝第2レグのダメージが少なからず残っているはずだ。これに対してソシエダは、じっくりと1週間をかけて準備を整えられるというメリットがある。そのメリットを活かせば、下馬評を覆すことは十分に可能だろう。

 今週末はラ・リーガも休止となり、スペイン中の視線がこのファイナルに注がれる。当日の天気は真夏日になるとの予報。ピッチ上でも熱い戦いが繰り広げられるに違いない。果たして久保は、ソシエダの新たな歴史の1ページにその名を刻めるだろうか。122回目の国王杯ファイナルが、間もなくキックオフの時を迎える。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

スペイン在住は四半世紀超え。1998年から通信員として情報発信を始め、スペインサッカーに関する取材、執筆、翻訳の仕事に従事してきた。2002年と06年のW杯、04年と08年のEUROなど国際大会も現地で取材。12年からFCバルセロナの公式サイト、ソーシャルメディアを担当する

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