次代を担うルーキーたちの現在地と未来

Jリーグの注目ルーキー「開幕2カ月診断」 浦和の肥田野蓮治の他に強烈なインパクトを残したのは──

土屋雅史

すでに3ゴールを挙げている浦和の肥田野(左)と、鹿島のジョーカーとなった林。今年も大卒ルーキーの活躍が目立つ 【(C)J.LEAGUE】

 Jリーグの特別大会、百年構想リーグも開幕から2カ月が経過した。今年プロの世界に飛び込んだルーキーたちは、ここまでどんな活躍を見せているのか。大卒、高卒、クラブユース出身を問わず、さっそくアピールに成功し、監督の信頼を勝ち取ったのは? J1、J2、J3のそれぞれのカテゴリーで目を引くニューフェイスをピックアップし、そのパフォーマンスを診断する。【※データはすべて4月10日時点】

王者鹿島でジョーカー的な立ち位置を確立

 2026年8月からのシーズン移行に伴い、いわゆる“特別大会”として開催されているJ1・J2・J3の百年構想リーグもすでに前半戦が終了。4カ月の短期決戦、かつ降格がないということもあり、各チームがさまざまな思惑を抱えながら戦う中、ここでは躍動が目を引いたルーキーたちをフィーチャーしていきたい。

 まずJ1で最大のインパクトを残したルーキーを挙げるとすれば、浦和レッズの肥田野蓮治(←桐蔭横浜大/FW/8試合・396分出場・3得点)で異論はないだろう。

 ジェフユナイテッド千葉との開幕戦でいきなりスタメンに抜擢されると、ゴールまで記録。ここまで3得点をマークし、その実力を大きくアピールしてみせた。左足のキックに加え、チームトップクラスのスピードも魅力的。前線のポジションならどこでもこなせるだけに、今後チーム内での重要性はさらに増していくはずだ。

 昨季、特別指定選手としてルヴァンカップ決勝のピッチも経験した柏レイソルの山之内佑成(←東洋大/DF/8試合・444分出場)は、ここまで左右のウイングバックに加え、3バックの右センターバックでもスタメン出場。そのポリバレントさでリカルド・ロドリゲス監督の信頼を勝ち取っている印象だ。

 また、前年王者の鹿島アントラーズに加入した林晴己(←明治大/MF/8試合・176分出場)は、果敢にドリブルで仕掛けるアグレッシブな姿勢と、両サイドハーフでプレー可能という汎用性も追い風に、ジョーカー的な立ち位置を確立しつつある。

 他にも開幕スタメンを飾った、抜群の活動量を誇る清水エスパルスの日髙華杜(←法政大/DF/5試合・256分出場)と、左足の高精度キックを武器に、大学卒業を待たずにプロの世界へ飛び込んだ横浜F・マリノスの関富貫太(←桐蔭横浜大/DF/3試合・244分出場)は、ともにサイドバックの位置で奮闘中。

 さらに、非凡なシュートセンスを有し、初ゴールまであと一歩というシーンが続くアビスパ福岡の佐藤颯之介(←宮崎産業経営大/FW/7試合・320分出場)や、鹿島でプレーする兄・優太とは異なる攻撃センスを発揮し、スタメンでも起用されている千葉の松村拓実(拓殖大/FW/4試合・148分出場)も、着実に出場時間を伸ばしている。

2種登録ながら全試合出場中の高校3年生

高卒・クラブユース出身のルーキーは苦戦している印象だが、その中では2種登録だった昨季にデビューを飾った神戸の濱﨑が頭一つ抜けた存在だ 【(C)J.LEAGUE】

 J1のリーグ前半戦を振り返るうえでは、現役大学生の“特別指定組”も語り落とせない。

 昨秋のU-20ワールドカップでの活躍も印象的だった小倉幸成(←法政大/MF/7試合・485分出場)は、ファジアーノ岡山への加入を決断すると、早くもボランチの主力としてJ1にフィット。球際へシビアに行けるメンタリティーも頼もしく、第2節のサンフレッチェ広島戦では退場処分も経験したが、以降も先発で起用されているところを見ても、木山隆之監督からの信頼は相当に厚そうだ。

 また、福岡の前田快(←神奈川大/MF/3試合・149分出場・1得点)は圧倒的な飛距離のロングスローというストロングを持ち、開幕戦では鮮やかなボレーでゴールも記録。そして水戸ホーリーホックの五木田季晋(←日本大/FW/5試合・159分出場)も体の強さを生かして、前線の基点創出に奔走。ここまで2試合でスタメンに指名されており、一層の飛躍が期待される。

 一方、高卒・クラブユース出身のルーキーはプロの厚い壁に苦戦している選手が多い印象もあるが、昨年のうちにJ1デビューを果たしていたヴィッセル神戸の濱﨑健斗(←神戸U-18/MF/6試合・171分出場)は、ミヒャエル・スキッベ監督の評価も高く、第7節のガンバ大阪戦では得意の左足から繰り出した繊細なクロスでアシストをマーク。今季の高卒・クラブユース出身のルーキーの中では頭一つ抜けた存在だ。

 他の高卒・クラブユース出身者を見渡しても、ここまでスタメン出場を経験したのは、東京ヴェルディの仲山獅恩(←東京Vユース/MF/2試合・67分出場)と川崎フロンターレの林駿佑(←川崎U-18/DF/1試合・61分出場)の2人のみ。

 仲山はヴェルディ育ちらしいテクニックと得点感覚が魅力の好タレントで、林はセンターバックとボランチを兼任できる守備のスペシャリスト。どちらも将来を嘱望される素材であることは間違いない。

 特筆すべきはU-18所属の2種登録選手ながら、ここまで全試合に起用されている千葉の高校3年生、姫野誠(MF/9試合・355分出場)。昨季のJ1昇格プレーオフでのゴールも記憶に新しいアタッカーは、今季も物怖じすることなく国内トップレベルのディフェンダーたちとやり合っている。この姫野のさらなる成長が、チームの躍進に影響を与えることは間違いない。

1/2ページ

著者プロフィール

1979年8月18日生まれ、群馬県出身。高崎高3年時にインターハイでベスト8に入り、大会優秀選手に選出される。2003年に株式会社ジェイ・スポーツへ入社。サッカー情報番組『Foot!』やJリーグ中継のディレクター、プロデューサーを務めた。21年にジェイ・スポーツを退社し、フリーに。現在もJリーグや高校サッカーを中心に、精力的に取材活動を続けている。近著に『高校サッカー 新時代を戦う監督たち』(東洋館出版社)がある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント