“台湾の至宝”ソフトバンク徐若煕がNPBデビュー2戦で証明したもの 指揮官の心変わりと重なったシルエット

田尻耕太郎

小久保監督(左)とタッチを交わす徐若煕 【写真は共同】

本人は「失投」も指揮官は「めちゃくちゃ厳しいボール」

 ソフトバンク・徐若煕投手が今季2度目の先発登板でも好投した。

 NPBデビュー戦だった1日の楽天戦(楽天モバイル最強パーク)は6回を3安打無失点の見事な投球で初白星をマーク。中6日で臨んだ4月8日の西武戦はホークスの本拠地・みずほPayPayドームでの初マウンドだった。

 勝てば、台湾出身投手としてNPB史上2人目のデビューから2戦2勝(1人目は2015年に当時西武の郭俊燐投手が記録)の快記録がかかっていた。初回に西武3番・小島大河に153キロの内角直球を右翼席へソロ本塁打を運ばれてNPB初失点を喫したが、動揺する素振りはなく自分の投球を貫いた。7回で投球数90、被安打6、奪三振5、与四球2で1失点と先発の役割を十分に果たしてリリーフにマウンドを譲った。

 ただ、この日は打線の援護に恵まれず、試合はソフトバンクが1-2で敗れたために徐若煕はNPB初黒星を喫した。

「ホームランを打たれたのは、失投だと思います。もったいない1球になってしまった。それ以降は、しっかりと投げることができたと思います。今日の反省を生かして、次の登板に向けて頑張ります」

 徐若煕は反省の言葉を口にしたが、小久保裕紀監督は「あのホームランはインサイドのめちゃくちゃ厳しいボールでしたよ」と相手を称え“失投”をやんわりと否定していた。

登板2試合で防御率0.69

徐若煕は2試合を投げ終え1勝1敗。防御率0.69で上々のスタートを切った 【写真は共同】

 また、西武は6番ライトで林安可がスタメン出場。先ごろのWBC台湾代表同士の対決にも注目が集まった。1打席目は徐若煕の初球147キロ高め直球に林安可が思わず手を出してしまい、止めたバットに当たるボテボテの三ゴロ。2打席目は123キロのカーブを上手くセンター前へ安打にして林安可に軍配。3打席目は徐若煕が149キロ直球でセンターフライに打ち取った。結果は3打数1安打だった。

 徐若煕は2試合を投げ終えた時点で1勝1敗、防御率0.69と上々のスタート。ストレートは平均150キロを超え、最も得意な変化球というチェンジアップではまだ安打を許していない。

「投げる感覚はここまで良い。良いスタートを切れた。今後色んな状況に直面するかもしれないけど、安定した投球を皆さんに見せられるように頑張りたいです」

 小久保監督は翌週(14日~19日)も登板させることを明言している。ただ、「1年間ずっとローテで回すことは考えていないです」とも意向を最初から示している。

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著者プロフィール

1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月に独立後も、ホークスを中心に九州・福岡を拠点に現場取材を続ける。『Number』(文藝春秋)『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、ニュースレター『田尻耕太郎の鷹バン!』(the Letter)を運営。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、プロゴルファーらが参加する「鴻江合宿」の運営サポートもライフワークにしている。

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