松山英樹、初日で見えた優勝の"フラグ"とは…? 歴史的なグリーン硬度に選手も驚く「マスターズ」第1Rレビュー

塩畑大輔

優勝した年と同じ?松山英樹に吹く「追い風」とは

 松山選手は、2度目の優勝というところを本人も当然狙うし、僕らも期待するところ。そこに向けては、すごくいいというわけじゃないけど、まずまずのスタートを切れたんじゃないかという印象です。

 ボギー2つも、むしろダブルボギーになりそうなところを耐えたもの。入ってないパットもあるし、思ったようにアイアンも付いてないんでしょうけど、それでもイーブンパーにまとめたっていうのがさすがだし、明日以降につながる。最終18番も難しい奥からのアプローチを寄せてパーセーブしていましたが、まさに世界最高クラスのショートゲーム技術だなと。

松山は2バーディー、2ボギーの72で回り、首位と5打差の17位に 【Photo by David Cannon / Getty Images】

 グリーンがここまで硬いという状況は、僕は松山プロにとってはむしろいいほうに作用すると思っています。フィッツ・パトリックが大会前の会見で「このコンディションは自分の記憶だと2021年の初日以来」と言っていたんですよ。

 2021年は松山プロが優勝した年です。グリーンが硬くなればなるほど、そこを捉えるアイアンの精度、技術が問われますが、彼はそこにとても長けている。あとはやっぱり、グリーン周り。素晴らしいアイアンを打ち続けられるトッププレーヤーであっても、この状況ではグリーンをこぼれることも当然増えるので、いつも以上にグリーン周りからのアプローチ精度が問われることになります。

 松山プロのアプローチ技術は、今や世界中の選手がお手本にするレベル。今季のPGAツアーでもリカバリー率(パーオンできなかったホールのうち、パー以下でホールアウトする割合)で1位にも立っています。そういうあたりから、僕は今年のコンディションは松山プロ向きだと考えます。明日以降がとても楽しみです。

“初見殺し”のマスターズ、今年は初出場組にも好機?

 個人的には、今年初出場の選手には注目しています。マスターズは「初出場が勝てない大会」と言われています。全員が初出場だった第1回大会と、それとあまり状況が変わらなかった第2回大会をのぞくと、初出場の選手が優勝したのは1979年大会のファジー・ゼラーさんだけなんですよね。

1979年、マスターズで初出場初優勝を果たしたゼラーさんは、前年優勝のゲーリー・プレーヤーからグリーンジャケットを着せてもらう 【Photo by Augusta National / Getty Images】

 ゼラーさんは去年の11月、74歳で亡くなられました。そういうめぐり合わせに加えて、今年は経験がモノをいうマスターズで本命視されるべき選手たちが、そろって万全ではないという状況にあります。

 大本命のシェフラーは、2022年は直前にツアーで3勝、2024年は2勝と勝ちまくった流れでマスターズに入って優勝しましたが、今回は子どもが生まれた関係で直前の大会を休んでいます。とても調子が良かったコリン・モリカワも背中をケガしてしまっていますし、マキロイも腰に不安を抱えている。この流れは、今までにないサプライズ優勝者が出ることにつながるのかも、と思ったりしています。

 今年は初出場の中にかなりいい選手がいるんですよね。例えばクリストファー・ゴッターアップ。2月には松山プロにプレーオフで競り勝つなど、ツアーでもう4勝もしている選手です。それからジェイコブ・ブリッジマン、ベン・グリフィンなども、ツアー優勝も経験している実力派です。僕は特にゴッターアップとブリッジマンに注目しています。小技やパットがかなりうまい。

ゴッターアップは今年2月のフェニックス・オープンで、プレーオフの末に松山に勝利しツアー4勝目。マスターズでも初日を終えて松山と並ぶイーブンパー17位に 【Photo by Justin Edmonds / Getty Images】

 こじつけもありますけど、そういうストーリー性を見出すというのも、歴史と伝統を誇るマスターズならではの楽しみ方だと思うんですよね。ガルシアが勝った2017年と、ラームが勝った2023年はともに、ふたりにとって母国スペインの英雄であるセベ・バレステロスの誕生日である4月9日が最終日でした。

 しかもラームに至っては、優勝した年のキャディ番号が「49」だった、とか。そういうサイドストーリー的なものがつながったりするのも、マスターズの魅力なのかなと。

 ゼラーさんはバレステロスみたいな象徴的なキャラクターではないですけど、マスターズを初出場で勝ったのは間違いなく歴史的な偉業だと思います。その方が天に召されたタイミングで、今年そういうことが起きたりしたら…。そんなあたりに思いをはせるのも、マスターズを楽しむひとつの方法かなと思います。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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