松山英樹、初日で見えた優勝の"フラグ"とは…? 歴史的なグリーン硬度に選手も驚く「マスターズ」第1Rレビュー

塩畑大輔

マスターズ・トーナメントが開幕。2度目の優勝を目指す松山 【Photo by Andrew Redington / Getty Images】

今年最初の海外メジャー大会、マスターズ・トーナメントが9日に開幕した。連覇を狙うロリー・マキロイや2度目の優勝を目指す松山英樹など、注目選手もずらりとそろう「ゴルフの祭典」で、今年はどんな展開が予想されるのか。佐藤信人プロに初日の印象を聞いた。

バーディーが出ない。歴史的にみても硬いグリーン

 とにかくグリーンが硬かった。歴史的にみても相当硬いコンディションになりそうだというのは、事前のアメリカの報道でも強調されていましたが、それにしても硬かった。雨が降らないほうが珍しいマスターズですが、このあともずっと晴れ予報なので、より硬くなっていくでしょう。

 午前スタート組の中には、ラウンド後のインタビューで「硬いけどまだそこまでじゃない」と言っている選手もいました。でも午後のプレーを見ている限りでは、そのようなコメントができるような状況ではなさそうでした。最終組の少し前で回っていたジャスティン・ローズ、ゲーリー・ウッドランドらの実力者をもってしても、バーディーはなかなか出そうになかったですから。

風が表面を乾かし続け、硬さを増すグリーン。世界ランク1位のシェフラーらも手を焼いた 【Photo by Andrew Redington / Getty Images】

 その中で目についたのは、午前組スタートでスコアを伸ばして首位に立ったマキロイですね。昨年の大会で念願の優勝を果たしました。今回は事前の会見でも「今までは毎年、早くマスターズをプレーしたいと思っていたのが、今年はマスターズが来なくてもいいという感覚」というようなコメントをしていました。要はもう優勝したから、その重荷が取れて、気楽になったということなのだと思います。

 そういう感覚は、どちらにも転がる気がしていました。重圧がなくなって、よりいいプレーをするか。あるいは、緊張感が悪い意味で失われ、張り合いがなくなっていいプレーができないか。でも初日を見る限り、完全にいいほうに働いていましたよね。

「立場」を満喫する王者。いい精神状態で走り切れるか

 特に後半は気持ちよく振れている印象でした。昨年の最終日後半のイメージもあるので、より気持ちよさそうに見えた。悲願の優勝を前に、本当にバタバタになっていましたから。それに比べて今回は、表情もずっとフラットな感じで、気楽に散歩しているような雰囲気に見えました。

 ラウンドが終わってからも「またグリーンジャケットを着ていろいろ楽しみたい」というようなコメントをしていました。実際にマキロイは、先週の土曜日に行われたオーガスタナショナル女子アマの時点からコースに入って優勝者を祝福しました。

開幕前日のパー3コンテストを家族らと楽しむマキロイ。翌9日の初日は5アンダー67で回り首位に 【Photo by Jared C. Tilton / Getty Images】

 おそらく、マストではないんですよね。ボランティアだと思いますけど、そこも含めてマスターズ王者としての立場を楽しんでいる。翌日のキッズゴルファーによるドライブアンドチップコンテスト、そしてホストとして歴代王者をもてなすチャンピオンズディナーと、盛りだくさんのイベントを全部満喫していました。

 大会前日のパー3コンテストも、娘さんにパターを打たせたりして、本当に楽しそうでした。その流れのままに、初日もいい精神状態で臨めていたんじゃないかと。このまま優勝争いを引っ張っていくか、注目していきたいと思います。

プレーオフ連敗の過去。「勝たせてあげたい」の雰囲気

 午後組はより難しい状況の中でのプレーになりました。ジョン・ラームやブライソン・デシャンボーがスコアを崩したのは少し意外でしたが、スコッティー・シェフラーは最終組のひとつ前でグリーンの硬度がより増す中でも、さすがのプレーをみせていました。でもやっぱり、特に注目するべきはローズじゃないかと。

 ひときわ安定していたティーショットなど、プレーの内容自体も素晴らしかったのですが、パトロン(観客)にものすごく温かく迎えられているなと感じました。彼に勝たせてあげたいという雰囲気が、今年のオーガスタには生まれつつある気がしまして。

パトロンの声援を受けてプレーするローズ。2アンダー70の6位につける 【Photo by Augusta National / Getty Images】

 2017年、そして昨年とローズはマスターズ制覇に迫りましたが、ともにプレーオフで敗れました。僕は2017年は現地に行っていて、2人のプレーオフも見ましたが、会場の雰囲気が「(セルヒオ・)ガルシアに勝たせてあげたい」一色に染まってしまっていたんですよね。

 ローズはアメリカでもすごく尊敬されているし、当然パトロンからの人気がある選手の1人だと思うんですけど、あのときはやっぱりガルシアへの応援が圧倒的でした。だからちょっとローズも気の毒でした。去年もそう。マキロイを勝たせてあげたいという空気が、完全に会場を支配していた。

2025年大会プレーオフ。マキロイを祝福するローズの姿に「グッドルーザー」と称賛の声が集まった  【Photo by Simon Bruty/Augusta National/Getty Images】

 マスターズの魅力のひとつでもあると思うんですが、こういう経緯、伏線みたいなものを、ファンの皆さんが鮮明に覚えているんですよね。圧倒的なアウェー感の中でも毅然としてプレーし、勝者をたたえていたローズの姿をみんなが覚えている。

 まだ初日ですけど、会場の声援などを聞いていても「今回はローズに勝たせてあげたい」というような雰囲気を感じます。最後の2ホールのボギー、ボギーがちょっと残念ですけど、難しい午後組で回って首位と3打差の6位というのは、いいスタートですよね。本当に勝たせてあげたい。勝ってほしいです。

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著者プロフィール

1977年4月2日茨城県笠間市生まれ。2002年に新卒で日刊スポーツ新聞社に入社。サッカーの浦和レッズや日本代表、男子ゴルフ、埼玉西武ライオンズなどの担当記者を務める。2017年にLINE NEWSに移籍し、トップページの編成やオリジナルコンテンツ企画を担当。note、グノシーをへて、2024年7月からU-NEXTに所属。

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